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【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉がミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

<第28回>元駐ミャンマー日本大使 田島 高志 氏


今回のテーマ:ミャンマー、民主化の行方


元駐ミャンマー日本大使
1935年生まれ。群馬県出身。東京大学教養学部教養学科卒業、外務省入省。本省、台湾、英国、香港、ニューヨーク、中国などに駐在後、外務省中国課長などを務める。ブルガリア、ミャンマー、カナダの大使を歴任し、国際機関アジア生産性機構(APO)事務総長を務めた後、東洋英和女学院大学大学院や国際教養大学などで教鞭をとった。
現在、日本ミャンマー協会顧問、日本ミャンマー友好協会顧問など多くの役職に就く。著書に「ブルガリア駐在記」、「ミャンマーが見えてくる」など。評論も精力的にこなしている。

大使時代に援助増やす 90年代の開放政策で

永杉 本日はお忙しいところ、お時間をいただきましてありがとうございます。90年代の開放政策の時代に駐ミャンマー大使を務めておられました。当時と今の民主化についてお話をお伺いしたいと思います。早速ですが、大使としてミャンマーに赴任されていたのは、1993年からでしたね。

田島 はい、93年から95年です。そのころは、軍政時代ですが、タン・シュエ議長が開放政策を採用し、外資導入、市場経済導入と改革を進めていました。日本企業の関心も強く、商社は本社からの人員を増やし、主要銀行の進出等もありました。閣僚は軍人が中心でしたが、非常にまじめで、国家再建のために休日も休まず一生懸命働いていました。私は毎日のように本国政府に進言し、ミャンマーへの援助を増やしたのです。それまでは、アウン・サン・スー・チーさんの軟禁もあり、日本も厳しい政策をとり、援助はほとんどストップしていました。援助を増やしたことによりミャンマー政府も喜び、日本を信頼したので、私も率直に指導者と話ができるようになり、スーチーさんの解放を勧めたりしました。そのころは、ミャンマーと中国との関係も良かったので、私と中国大使だけが行ける地方の場所もありました。

永杉 欧米諸国の経済制裁との関係で、問題は生じなかったのですか。

田島 日本の援助は人道的な支援であり、壊れた橋の再建や、農業支援、看護大学の再建などです。その頃は、欧米の制裁もそう強いものではなく、私のミャンマー離任後、1997年にアジア経済危機の発生による外資引上げがあり、欧米の制裁も強化され、ミャンマー経済は低迷しました。

民主主義教科書を編集し贈呈 教育省も採用へ

永杉 その頃に築いたミャンマーでの人間関係は今でも生きているのですね。さて、6月に民主主義の教科書をミャンマーに寄贈していますが、どのような思いからなのでしょうか。

田島 2013年にミャンマーを訪問し、旧知の連邦団結発展党(USDP)テー・ウー副議長とお会いしました。その際に、「民主化は始まったが、一般市民が民主主義を正しく理解してくれていないので困っている」と話すのです。私は終戦時小学生でしたが、「戦後に日本政府は学校の生徒全員に民主主義の教科書を配り教育した」と話をしたところ、「それだ、ぜひそのコピーが欲しい」と言われたので、協力を約束したのです。
 文科省には、当時の教科書が残っており、また、現在は公民という教科書に民主主義の説明もあるので、それら3冊の翻訳版を作成しました。日本の教科書ですから、今のミャンマーには適さない内容もあるので、私自身が全ページをチェックして普遍的な内容に編集しました。翻訳は信頼できる専門家に依頼し、完成した翻訳版をテー・ウー副議長へ持って行きました。本当に喜んで感動の意を表し、これは政治家、軍人、他の党、政府職員、一般市民等に広く配ると言われたので、私も嬉しく感激しました。
 この事業は、外務省からODA 予算の支援を受け、日本ミャンマー協会の事業として他のNPO 法人とも連携して実施したので、多くの方々にお世話になりました。先日、ヤンゴンで2万5千冊の「民主主義」読本の寄贈式を日本ミャンマー協会主催で行い、テー・ウー副議長、渡邉会長、樋口大使をはじめ、在留邦人代表や日本・ミャンマー双方の関係者に出席を頂きました。
 さらに、教育省はこれをもとに、ミャンマー独立直後の民主主義時代の教科書も参考にして、小中高校生向けの教科書をつくる作業をしています。教育改革の問題があったため、教育省の作業は遅れていますが、テイン・セイン大統領が「来年には全生徒が学ぶように」と指示されたそうです。

注目の総選挙は11月8日

 ミャンマーの未来を左右する総選挙の選挙戦が始まった。投票日は11月8日。前回の2009年の総選挙では、最大野党の国民民主連合(NLD)がボイコットしており、与党の連邦団結発展党(USDP)とNLD が政権を争う初の選挙となる。あわせて、地方議会選も行われる。
 ミャンマー国会は二院制で、下院(人民代表院)と上院(民族代表院)がある。この上下院を合わせた会議が連邦議会だ。上下院はそれぞれ、25%が国軍の任命枠となっており、残りの下院330議席、上院168議席を選挙で決める。いずれも小選挙区制だ。
 総選挙後、3人の大統領候補が選ばれる。国軍推薦議員が1人を選び、下院と上院の選挙選出議員が1人ずつを選ぶ。その3人の中から、連邦議会で大統領が選ばれる。大統領に選ばれなかった2人は副大統領となる。
 USDP は、地方議会を合わせ1134人の候補者を擁立。NLD からは1151人が立候補する。

永杉 ミャンマーに民主主義が根付くためには、何が必要なのでしょうか。

田島 年配のミャンマー人は、独立後に民主主義国家であったことに誇りを持っていますね。ただ、半世紀も独裁体制が続いたため、大部分の国民は民主主義の経験がありません。しかし、軍人は「( 民主化して) 我々の夢がかなった」と言うのですよ。以前から民主主義体制に移行しようとしていたが、国内の治安が保てずに遅れた、というのです。テー・ウー副議長をはじめ、多くの軍人はそう考えているんですね。
 例えば、国連の国際労働機関(ILO)ミャンマー代表部の代表であるオーストラリア人は、ミャンマー側から労働組合法案を見てほしいと言われ、大幅に修正したら、そのまま採用され、さらに「自分たちは国際水準のものを作りたいのだ」と言うので驚いたそうです。それくらい、ミャンマー人は民主主義を完成させたいと思っているのですね。国際社会が温かく支援を続ければ、必ず成功すると思います。

民主化はミャンマー人の夢 支援続ければ必ず成功

官民挙げての援助 日本は最も頼りにされる国

永杉 外務省では、中国課長も務めておられますね。ミャンマーにとって、日本との関係、中国との関係はどう思われますか。

田島 若いころには、中国関係が長かったんです。中国課長をしていた78年の福田内閣の下で、日中平和友好条約が結ばれました。私にとって最も思い出に残る経験でした。
 ミャンマーと中国との関係ですが、ミャンマーが欧米の制裁を受けていた時代には、どこからも援助を受けられませんでした。日本からも微々たるものです。そこに中国が、政治的にも経済的にも援助を強化したので、ミャンマーは中国に頼らざるを得なかったということです。しかし、民政移管によって「どの国とも仲良くする」という従来の形に戻りました。独立後、ミャンマーは中立的な外交姿勢で、ウ・タント元国連事務総長を輩出するような国でした。近年中国に偏りすぎた面があったので、民主化後は、中国が進めたカチン州のミッソンダム計画を、住民の強い反対で中止するなどの動きがありました。ただ、中国とは今後も大切なパートナーとして付き合っていくでしょう。
 日本との関係ですが、私が大使に着任した時に、当時のタン・シュエ議長から、「ミャンマーの独立は、日本の支援によるものだ」と言われて、びっくりしたことを覚えています。もちろんその背景は分りますが、国家元首からそう言われるとは思いませんでした。ミャンマー人にはそのくらい親日的な気持ちがあります。制裁で関係が冷え込んだときもありましたが、民主化後日本は「待ってました」とばかりに官民挙げて毎年幅広い援助を増強しています。テイラワ経済特区の開発事例にも見られるように、最も頼りにされる関係を築いていると言っていいと思います。
 ただ、ミャンマー人は真面目であると同時に自尊心も強い民族ですから、上からの目線ではなく、友人として同じ目線で付き合うことが大事であると思います。

永杉 非常に中身の濃いお話をありがとうございます。いまでも、ミャンマーに強い関心を持って、繋がっていらっしゃることに感銘を受けました。

田島 ところで、あなた方は良い仕事をしておられますね。お世辞ではなく、これを読めばヤンゴンのことはなんでも分かる。現状を知るうえで一番頼りになる素晴らしい情報誌です。

永杉 お褒めのお言葉を賜り望外の喜びです。これも読者、クライアントの皆様のご支援の賜物です。今後益々のご活躍をお祈りしております。


MYANMAR JAPON CO., LTD. 代表
MYANMAR JAPON および英字情報誌MYANMAR JAPON+ plus 発行人。ミャンマービジネスジャーナリストとして、ビジネス・経済分野から文化、芸術まで政府閣僚や官公庁公表資料、独自取材による多彩な情報を多視点で俯瞰、マーケティング・リサーチやビジネスマッチング、ミャンマー法人設立など幅広くミャンマービジネスの進出支援、投資アドバイスを務める。ヤンゴン和僑会代表、一般社団法人日本ミャンマー友好協会副会長、公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会特別委員。

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