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異国の地からミャンマー事業を継続 Work From Japan

コロナ、政変を経て、数百人になっていた邦人数は、8月の帰国便によってさらにその数を減らし、今やミャンマーにいる日本人は2~300人とも言われている。一時退避者の多くがワクチンを接種し再び戻ってくるというケースだが、ここ10年で見ても邦人の数は顕著に少なくなったことは間違いない。とはいえ、日本からミャンマーの業務を行わなければならない駐在員も多く、しばらくはリモートワークの対応が続く。現在の業界動向からリモートワークの具体例ほか、今回は“日本からのミャンマー事業”という観点で特集をお届けする。

<MJビジネス 2021年9月号掲載のコンテンツから構成しております>


ミャンマーの重要産業はいつ再開するのだろうか?苦しい選択を迫られる建設業界
ミャンマーで最も多い日系企業が関わっている建設業界。しかし、コロナ、政変を受け、ほとんどの現場はストップし、今もまだ再開のメドは立っていない。今後、建設業界はどうなっていくのか?いつ駐在員は帰ってくるのか?

コロナでヤンゴン戻りのスケジュールが不透明に
 438企業が会員として名を連ねるミャンマー日本商工会議所(JCCM)の中で、最も多い129企業(2021年7月末)が属する建設部会。未だインフラが整わないミャンマーにおいて建設事業は不可欠であり、ODAを始め民間投資も合わせて多くの事業が行われていた。しかし、昨年の新型コロナウイルス、そして今年に入り政変からの治安悪化、再びコロナの感染拡大という逆風が相次ぎ、さらには雨季に入ったこともあって、一部地方の橋梁や鉄道案件を除き、多くの建設現場が停止状態となっている。建設関係の駐在員もほとんどが帰国、ワクチンを接種した後にミャンマーに戻ってくるというフローが現在は一般的となっている。「新型コロナ対策の公休日期間が延長され、事務所は閉所中です。ローカルスタッフは在宅業務ですが、現場が止まっているので業務は少ない。私自身は10月にミャンマーに戻って準備をし、11月に業務開始を見込んでいますが、どうなるかは見えません。戻りも延期するかもしれない」と話すのは建設関係に勤めるAさん。

 一旦停止した現場を再稼働するには、労働者を集めて再教育、機械のメンテナンスなどが必要であり、その準備に1か月を見ている。しかし、このまま業務再開ができなければ事業規模縮小などの対応も迫られてくるとAさんは危惧している。

 実際、当初は次の乾季に向けて用意をしていた建設関係者は多かったが、7月以降事態が急変した。背景には前述したコロナの感染拡大があり、4人の邦人が亡くなるというニュースはミャンマーの日系社会にも大きな衝撃を与えた。10月頃のヤンゴン戻りを予定していた駐在員は予定を変更、年末年始まで様子見というケースも増えてきている。

 また、問題はコロナだけではなく、今も続くドル&ミャンマーチャットの入手困難という現状もある。建設現場に関わる従業員は数百人単位にも及び、人件費を始め資材や機械などのコストも大きい。労働者への支払いだけではなく、現金決済を求める外注業者も出てきており、金融問題が解消されなければ動かせられないといったケースも聞く。「繁忙期になると作業員が相当数になります。現場作業者への支払いは一部現金渡しになるので大きなネックとなっています」。

 こうした状況を受けて、工事の再開を2023年の総選挙以降に想定している企業も出てきているという。「早くても選挙以降で、24年8月以降という企業もありますし、どうしたってポジティブにはなれないですね」。

 事業の遅れはコストにもつながり、納期の遅れによって発生した経費がコントラクターに課されることもある。そうした背景から企業によっては当初の10月戻りを変更できない企業もあるという。「施主に対し、日本人やローカルのエンジニアがすでに揃っていて、いつでも工事が再開できると主張しないと交渉で不利になるからです。そのため業務を行うかわからない状況でも日本人をミャンマーに戻さないといけない。他社も同じように苦労していると思います」と吐露するAさん。

 コロナと政変という非常に厳しい状況のなか、建設業界も苦しい選択を迫られている。

▲ヤンゴン市とティラワSEZ を結ぶバゴー橋の建設現場も停止した。ODA案件も未だ再開のメドは立っていない
▲ヤンゴン市内のLandmark Project を始め、日系案件はほとんどがストップ。一体いつ再開できるのだろうか