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Column01

ワクチンを接種したある日本人の体験談

ヤンゴンでワクチン接種をした日本人男性。
実際に体験した状況や副作用などについて語ってもらった。

 Aさんがワクチン接種をしようと思ったきっかけは偶然だった。たまたま知人の紹介で知り合った財閥関係者のミャンマー人有力者から「期限切れになりそうなワクチンがあるので接種しないか?」と言われ、打つことを決めた。接種したのは4月初旬。場所はヤンゴン市内ニューユニバーシティ通りにある学校の体育館で、そこには約30人のミャンマー人が待機していた。ワクチンの種類はインド製アストラゼネカ。接種前に「過去に糖尿病などの疾病はないか?」といった10ほどの質問が明記された問診票に記入(言語はミャンマー語)。ソーシャルディスタンスを保ちながら自身の名前を呼ばれるのを待ち、5分ほど待機した後に接種した。
 その後は異常反応がないかを確認するため、30分ほど待たされた。特に異常は見当たらなかったため、2回目の接種を指示された用紙を受け取り、帰路につく。現地に着いてから45分ほどで1回目が完了した。
 1か月後、同じ場所に向かうとすでに50人ほどが待機していた。もちろんすべてミャンマー人で、日本人はAさんだけ。1回目が完了したという用紙を受付に渡すと、職員も手慣れた様子で淡々と業務をこなし、2回目の接種が完了した。約1か月後、英語で書かれたワクチン接種の証明書を受け取り、仮に紛失したときは再発行も受け付けてくれるという。
 気になる副作用については、1回目が1日ほどだるさがあったが発熱はなく、翌日には回復。2回目が1日半ほど続いたが、それも問題なく現在は回復している。ちなみに接種にかかった費用は紹介だったため無料だった。
 現在、正規ルートとしては、International SOSおよび検査機関のSMLがインド製コバクシンの入荷を予定している(接種時期は不明)。費用はSOSが未定で、SMLは2回で50ドルとのこと。問い合わせは以下。

International SOS Clinic Yangon
TEL:09-5165-7922 / 09-4201-14536

ワクチン1回目の接種を完了したときに渡された用紙
接種しに来ていた人は富裕層のようだった




Column02

大量の従業員を抱える縫製業キャッシュ問題

数千人規模で事業展開している工場もある縫製業。
現金での給与払いは、どのように対応しているのか。

 4月から続いているミャンマーの金融問題。銀行でドルやチャットが引き下ろせず、ATMもほとんど機能していない。日系企業では給料の支払いにおいて今も困惑しているところもあるが、一体現状はどうなっているのか。ある縫製業の財務担当者にキャッシュ不足問題について聞いた。
 元々、同社ではオンラインで給料を支払っていたものの、「ATMでの引き出しが困難」というスタッフの要望を受け、現金払いに切り替えるよう決断。ミャンマー中央銀行が4月末に紙幣の流動性を上げるべく発表した新規銀行口座を開設し、キャッシュを移動。既存口座では引き出しに制限がかかっていたが、新規口座では無制限に引き出せるというメリットがある。
 これが奏功し、今もなお同社では現金の引き下ろしを問題なく行えている。縫製業は従業員が多いため、同社では1回の引き下ろし額が数億チャットにもおよぶというが、先々もキャッシュ不足を危惧するような通達は銀行からは受けていない。「弊社の立ち上げからお世話になっている銀行ですし、額も大きなことから弊社を厚遇してくれているのかもしれません。ただ、額が大きいため、支払日の2、3週間前には銀行にお伝えし、用意してもらっています」。
 ちなみに同社が利用している銀行は地場トップ3に入るような大手ではなく、中堅銀行。ただし、他社が同じように新規口座開設を申し込んでも現金の引き出しを断られたというので、やはり特例だったのかもしれない。「中堅銀行だったのが、結果的にラッキーだったと思います。大手であれば、個別対応などはしてくれなかったと思いますので」。
 チャットの引き出しは問題なく動かせているものの、一方でドルの引き出しには制限がかかっており、月に5000ドルほどとのこと。ただし、協力会社への支払いはチャットで行っているため、現状業務には支障をきたしていない。また、周囲の縫製業でもそこまで深刻な状況に陥っているという話はあまり聞いていないという。「日系の縫製業の多くは現金で支払っていると思いますが、多くの企業は問題なく対応できていると感じています」。

多くの縫製業が入居するミンガラドン工業団地
今もATMでの出金は厳しいが、BtoBは徐々に回復している