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世界同時多発! 最大の課題は海上輸送 コロナ禍のミャンマー物流

ONE Ocean Network Express
(Myanmar)

Managing Director
住田 洋二
[Sumida Yoji]

世界の主要港で問題が勃発、今後の対応は?

昨秋以降、コンテナ輸送での本船の遅延と、アジア主要国でのコンテナ不足が騒がれている。北米ではコロナ禍で労働者が減少、北米西岸では港での作業効率が低下、そしてミャンマーへの影響はいかに?
ONEの住田MDに現状と今後の予想を語ってもらった

物流現場は需要増
海上運賃が高騰化

 アジアのコンテナ不足と本船の遅延問題。現在、物流業界に打撃を与えている一大トピックである。
 昨年10月頃から湧き上がってきた同問題の背景にあるのは、コロナによる影響。いち早くコロナ禍を脱した中国を含むアジアから欧米への輸送が続いたものの、欧米ともにコロナの感染が拡大。港湾現場の労働者に感染やロックダウンが広まり、ドライバーや労働者数の減少によって荷役効率が低下、本船やコンテナが港に滞留する悪循環となり、結果遅延が続いた。また、そうした滞留コンテナがなかなかアジアに戻ってこない状況から、アジア主要各国でコンテナ不足に陥っていった。
 アジア発の荷動きはいわゆる“巣ごもり需要”で活発化。こうした需要に対し、アジアで圧倒的な輸出量を誇る中国を始め、ベトナム、インドネシア、タイなどでコンテナ不足が深刻化した。このような状況下、中国ではスペースとコンテナ確保に向け、欧米向けの運賃を中心に高騰化を引き起こし、結果他のアジア諸国へ波及している。こうしたマーケットの動きを問題視するヨーロッパでは、荷主団体とフォワーダー協会が欧州委員会に対し、「コンテナ船社の一方的な運賃値上げやサービス変更」について、関係当局に必要な対応を取るように要請したと発表。コンテナ船社が貿易成長を阻害していると批判する動きも出ている。

▲川崎汽船、商船三井、日本郵船の3社が統合し、設立されたONE。世界第6位の定期コンテナ船事業を運営する

ハブ港の影響を受ける
ミャンマーの実情とは

 ミャンマーに目を向けると、最大都市であるヤンゴンの港は、アジア発欧米向け航路の大動脈に組み込まれておらず、シンガポール港というハブ港から積み替え輸送されるフィーダー港という位置づけ。アジア全体のコンテナ不足・スペース不足の影響を受け、他のアジア諸国同様に運賃は上昇基調だという。「現状、ミャンマーでは、中国やタイのような国ほどコンテナが足りないというわけではありませんが、20ftと40ft High Cubeの2種類のコンテナは厳しい在庫管理を強いられています」と語るのは、世界6位の定期コンテナ船事業会社・ONEの住田MD。ヤンゴンでも一部の船社においては、すでにコンテナ不足の煽りを受け、20ftが足りなくなったという。
 コンテナ不足と同様に問題なのは、スケジュールの遅延。前述したようにヤンゴンの物流は、ハブであるシンガポール港の影響を受けるため、同港の混雑による遅延が常態化すれば、ヤンゴンも影響を受け遅延が常態化する。また、シンガポールで接続する第2船に予定通り積まれないといったことや急な予定船の変更による到着遅れが頻発。ハブ港に荷物が着かないと最終仕向け地までの到着予定を把握できないため、ヤンゴンサイドでは予め緻密なスケジュールを立てられないといった状況が問題となっている。
 一体、解決策はあるのだろうか。積み残し貨物の解消や滞留する空コンテナを廻送するための臨時船を出すというプランもあるが、遅延問題もあり効果は限定的。もはや人為的に解決するのは厳しく、平時並に落ち着くにはコロナの収束を含めた時間的な解決を待つしかない。
 一つのカギとしては、例年閑散期となる中国の旧正月(2月12日)以降の対応。海運データ会社の「eeSea」によれば、2021年1Qはコンテナ船社は本船の遅延などにより、結果として旧正月期間中も船腹量をほぼ維持するとし、今年1月は前年同月比7.6%増、さらに2月は34%増、3月で17%増と大幅に増える見通し。そして、各船社は荷動きの活況や大量の積み残し、空コンテナの回送に対応するという。これらにより本船遅延・コンテナ不足解消への効果はある程度期待はできるものの、一部では4月〜5月まで続くという声も出ており、まだまだ明確な見通しは立っていない。「コロナによって消費と需要も落ち込むと思われていましたが、実際は逆でした。船社としては、適宜需要の戻りに沿って船腹を増やしてきました。決してスペースを絞り込んでいるわけでありません。現状混乱は続いていますが、問題解決に向け、引き続き対応していきます」。

▲世界の主要港に比べてヤンゴンは大きな影響は受けていないが、20ftのコンテナが枯渇するというケースも

物流関連の注目ニュース

空コンテナ不足
ミャンマー米の海上輸出が減少

空コンテナが不足しているため、海上輸送によるミャンマー米の輸出量が減少していることが明らかになった。ミャンマー米協会のルー・モー・ミィン・マウン事務局長が発表したもの。7Day Dailyが伝えた。
 これによると、ヤンゴン港において空コンテナが不足している状況が数ヵ月間続いており、ヤンゴン港から中国・上海までのコンテナ1本あたりの運賃がそれまでの130米ドルから450米ドルに高騰しているという。中国から米やくず米の需要が高まっているが、物流コストの上昇により米輸出量が減少しているという。
 一方、米輸出量の減少によりミャンマー国内では米の余剰が出ており、ヤンゴン穀物市場において下等米の卸売価格が23,000Ksから22,500Ksに値下がりしている。ヤンゴン穀物市場には1日あたり5万袋の米が入荷している。

コンテナ海上運賃が高騰
輸出入が困難に

コンテナ海上運賃が高騰しているため、輸出入が困難となっていることがわかった。ヤンゴン港を拠点とする貨物運送業界の関係者によりわかったもの。7Day Dailyが伝えた。業界団体によると、ヤンゴン港から中国・上海までの20フィートコンテナ1本あたりの海上運賃は、昨年の同時期に130米ドルだったものが400米ドルに、欧州向けは1,000米ドルだったものが2,000米ドルにそれぞれ高騰しているという。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界の海運会社が欧州、米国、中国を結ぶメインの航路を優先させ、ヤンゴン港などの主要ではない港への運航を減らしていることや、空のコンテナがないことなどが影響していると分析している。
 ミャンマー海上輸送業発展協会のティン・マウン・ウー事務局長は「運賃の高騰で海上ルートによる輸出入が困難となっている。運賃の高騰に加え、空コンテナを探すのも難しくなっており、輸出入業者にとっては困難な状況だ」とコメントした。

中国からの輸入が急増
物流コストが2倍に

 中国からの輸入が急増しているため、長距離トラックの輸送費が2倍に高騰していることがわかった。7Day Dailyが伝えた。ムセ長距離トラック運輸業協会の発表によると、11月に入り中国から肥料、殺虫剤、家電製品、縫製用生地、日用品、医療用物資などの輸入が急増している一方、ミャンマーからの輸出が中国側の規制により低調となっている。このため、上り便は空の状態で運行せざるを得ないため、輸送費が2倍になっているという。
 同協会のウイン・アウン・カン会長は「ミャンマー側から中国の瑞麗に入るトラックの台数は通常1日あたり500台あったが、中国側の制限により100台に減っている。現在中国からの輸入が急増しているため、上り方面はトラックを空で運行せざるを得なくなっており、輸送費が高くなっている」とコメントした。ミャンマー・中国国境の町ムセからマンダレーまでのトラック1台あたりの輸送費は、それまでの180万Ksから350万Ksに値上がりしている。

ティラワ埠頭
大型船の接岸が許可へ

 ティラワ経済特区に隣接するティラワ埠頭に12月1日から大型船の接岸が許可されることがわかった。ミャンマー港湾当局が発表したもので、MYANMAR TIMESが伝えた。
 発表によると、ティラワ埠頭には喫水9メートル以下の船しか入港できなかったが、12月1日から喫水10メートル、排水量2万トンまで許可される。ヤンゴン市内ヤンゴン川沿いの埠頭はこれまでと同様で喫水9メートル以下、排水量1万5千トンまでの船のみ接岸が許可される。ヤンゴン川の浚渫工事が行われ、流域の水深が深くなったことにより規制が緩和されたという。
 ティラワやヤンゴン市内の埠頭に接岸する外国貨物船の多くは、ヤンゴン川沖で停泊し積み荷を降ろす作業を行ったり、満潮になるまで待機することなどにより停泊時間が長くなっている。今回の規制緩和で輸出入の促進や物流の円滑化が期待されている。