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世界同時多発! 最大の課題は海上輸送 コロナ禍のミャンマー物流

世界は動き出している。コロナ発生からすでに1年が経とうとしているなか、経済の指標となるのが、モノの動きであり、物流。ミャンマーは航路の大動脈に含まれていないものの、それでも世界各国の影響を受けており、問題も発生。コロナ禍の物流とは一体どういう状況なのか?現場の実情とともに、ミャンマーで躍動する物流企業を紹介する。

JCCM運輸部会長
ミャンマー日本通運

Managing Director
谷田部 裕議
[Yatabe Hiroyoshi]

輸送量はコロナ以前に戻ったのか?
どういった問題が起きている?

現場はすでにWithコロナ

ヒト・カネ・モノと形容される経済において、重責を担っているのが物流業。コロナ禍でミャンマーの物流は一体どのような変化が起きているのか?
JCCM運輸部会の谷田部部会長に総括してもらった。

一部が航空便に移行
陸送はほぼ平時に

──新型コロナウイルス(以下コロナ)発生以降の状況を教えてください
 昨年4月から第一波が始まり、いったんは落ち着いたものの、第二波が8月中旬に来ました。春先はアパレル製品の輸出ピークではないので大きな問題はなかったのですが、第二波の影響で9月にロックダウン、冬物がストップとなったため、大きな損害を受けました。その後、ロックダウンが徐々に緩和され、輸出も急ピッチで増えていき、10月〜11月がピークになった形です。冬物なので、ブラックフライデーやクリスマス商戦がターゲットとなりますが、生産が遅れたため、通常であれば船便で輸送する一部の製品が、航空便に回ったという経緯があります。

──航空便についてはどうでしょうか
 ASEAN各国の製造現場で生産が遅れているため、タイやベトナムなどの工業製品が航空便に流れている印象です。ミャンマーは昨年3月から国際線の旅客便離発着禁止となり、輸送能力が平時よりも落ちています。あと諸外国の企業が航空便に流れているため、スペースが非常に取りづらくなりました。急激に航空需要が高まったので、運賃も上がっています。

──どういった製品が航空便で運ばれるのですか
 アパレル製品は運賃負担能力が高くありません。例えば、通常2,900円の服を、急に3,900円で売ることはできないからです。一方、タイやベトナムで作っている自動車関連や電子部品などは、運賃が上がっても負担能力があります。そうしたものは最終製品までラインで製造しているため、もし1つの部品が欠ければラインストップしてしまう。そちらの方の損失が大きくなるため、多少無理をしても輸送を優先するわけです。

──ミャンマーのアパレル製品の輸出は落ち込みましたか
 昨年秋、ヨーロッパにおいて感染が再拡大したため、ミャンマーからの輸出も少なくなると思ったのですが、実際はそうはなりませんでした。店舗が閉まっても、ECでの販売が好調だったため、相当量を輸出しましたし、大きな影響は出ていないと感じています。現在、最大の問題は海上輸送で、ピーク時はミャンマーでもコンテナが足りなくなりました。毎年ピーク時にはコンテナは枯渇するのですが、この国は輸出よりも輸入の方が多いため、結果的に救われた形です。しかし、船便のスケジュールは大幅に乱れており、全世界的に困っている状態です。

──陸送での問題はありますか
 昨年最も規制が厳しいときは、トラックがヤンゴンから出ること自体厳しい状況でした。ドライバーはPCR検査が義務付けられ、首都機能のあるネピドーにおいては、ほとんど入れなかったと記憶しています(現在もネピドーへの配送には入境後に2週間の隔離が必要)。タイ、ベトナムまで続く東西経済回廊も鼻咽頭検査のPCR検査が必須でしたが、今は唾液の検査になったので、だいぶスムーズになりました。また、タイとの国境では1週間ほど完全封鎖となりましたが、早期に緩和されたので、大きな影響はなかったです。

▲コロナ禍で工業製品の一部も航空便に移行。ヒト・モノの移動を支える航空便には今後も期待が懸かる

不在のまま引っ越し作業
日本人は戻ってくるのか

──今後の物流をどう見ていますか
 航空便の規制が、どのタイミングで解除されるかは注目すべきポイントだと思います。人の往来がないと、自ずと便数も増えないので、難しいところですが……。また、物流はしばらくWithコロナでの対応になると考えています。昨年4月の第一波以降はミャンマーも感染者をコントロールできていましたが、現在は拡大しましたし、Withコロナで乗り切っていくしかないでしょう。ただ、ポジティブな動きとしては、昨年5月にストップしたEMSも再開し、喜ばれた邦人も多いと思います。

──Withコロナによって物流事情が変わりますか
 積載量が変わるとか、作業効率が下がるということは特にないですし、周囲からも聞いておりません。ただ、もし感染者が出た場合は、関係者が隔離となるため、バックヤードのオフィスではシフトによる出勤などで対応していますし、各社そうした点で苦労しています。

──ワクチンの搬送をどう考えていますか
 現状ミャンマーに入ってくるのはインド製だと言われています。到着すれば通関は早急に済ませるでしょうし、政府が責任を持って搬送すると思います。ただ、まだ具体的な動きは聞いておりません。

──日本人の引っ越し案件については
 駐在員が日本に退避したまま本帰国となり、不在の引っ越し案件が増えました。現在案件の50%以上はそうした不在のケースです。引っ越しの用意はリモートで指示を受けながら対応しています。今後、4月の人事異動がどうなるのかは気になるところです。また、家族がどれだけ戻ってくるのか、というのも心配しています。すでにヤンゴンには戻ってこないと決められ、家族の分だけ必要なものを日本に送るケースもありました。

──現状の物流での大きな問題は
 船便のコンテナ不足、スケジュールの乱れとアパレル需要がどうなるのか。今年の秋冬物などは非常に心配しています。

▲移動においては問題なく動いている陸送だが、地方への移動は現在もドライバーのPCR検査が必須となっている