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コロナ禍ながらも日本への出国が再開 再び動き出すミャンマー人材採用

ようやくミャンマー人材の日本への出国が再開された。とはいえ、日本での隔離期間などもあり、本格的に動き出すのは、もう少し時間がかかるとみられている。それでもミャンマー人材の日本での需要は依然として高く、国内の労働力不足を解決するキーワードとしても非常に注目されてきた。MOEAFのミン・ライン会長インタビューほか、ミャンマー人材を育成する注目企業を紹介する。

スマートカードや逃亡問題
MOEAF会長にインタビュー

10万人のポテンシャル

ミャンマーの労働省が認定した唯一の労働者派遣窓口であるミャンマー海外人材派遣企業協会(MOEAF)。
同協会の会長であるミン・ライン氏にインタビューを行い、コロナ禍での影響や今後の課題などを語ってもらった。

ミャンマー海外人材派遣企業協会(MOEAF)
ミン・ライン 会長
[U Min Hlaing]

2,700人が日本への渡航待ち
スマートカード取得が再開

──ミャンマー政府が認定する送り出し機関の数を教えてください
 現在は350社以上あり、そのうち日本に派遣している機関が277社。まだ認可待ちの企業も多く、さらに増えると見込んでおります。

──2014年の産経新聞のインタビューで「2020年の東京五輪までにミャンマー人技能実習生を日本に10万人以上送りたい」と発言されていましたが、現在は何人でしょうか
 現在は3万人超です。2020年開催の東京オリンピックのため、10万人を送り出す想定だったのですが、新型コロナウイルスによって延期となり、叶いませんでした。ただ、ポテンシャルは依然として10万人以上あると考えています。

──コロナによって、どのようなことが問題となっていますか
 2020年3月18日から、ミャンマー人技能実習生の送り出しがストップしました。7月にMOEAFの役員とともに、丸山市郎駐ミャンマー日本国特命全権大使と会談し、送り出しの再開をお願いして、9月27日から再び開始、123名が日本に入国しました。ただ、ご存知の通り、ミャンマー国内でもコロナの感染者が拡大し、地方からヤンゴンへの移動に規制がかかるなど、ヤンゴンに来られない人もいます。さらに出国前72時間以内のPCR検査が義務づけられ、その費用も負担となり、航空券も通常より高くなっているため、全体的なコスト高が課題となっています。

──現在どれぐらいのミャンマー人材が日本への出国を待っている状態でしょうか
 3月時点で入国許可が下りているのが3,000人で、在留資格認定証明書(COE)が下りているのが1,000人、合わせて4,000人ほど。9月の再開からすでに1,237人が入国し、残り約2,700人が待機している状況です。ただ、そのなかでもスマートカード(海外労働証明書)の発行を待っている人もいます。

──スマートカード取得の研修人数を制限していますが、いつから通常に戻す予定でしょうか
 10月までストップしていましたが、ようやく11月からオンラインで再開しました。当初こそ1週間で80人まででしたが、現在は週で160人に。それもまた状況をみて、増やしていきたいと考えています。

▲2017年ヤンゴン市内のホテルにて、日本やASEAN向けの人材派遣セミナーで登壇したミン・ライン会長

▲当日はZOOMでインタビューを行い、下記のQ&Aに答えてくれたYellowLinkのゾーゾー代表が通訳を務めた

逃亡するケースは減少
雇用契約の遵守が根幹

──技能実習生の逃亡といったトラブルは起きているのでしょうか。また、何が問題なのでしょうか
 2014年頃、技能実習生の逃亡が日本でも話題となり、ミャンマーの労働省や送り出し機関の関係者、日本の厚労省、入国管理局で問題解決に向けて協議しました。ミャンマー人の逃亡は「もっといい給料で働ける仕事を紹介する」といった誘い文句で不法就労や難民申請するのが通常のパターン。ただし、当機関でもスマートカード取得の際に、日本の文化や逃亡リスクをしっかりとレクチャーした結果、そうしたケースはだいぶ減り、最近では報告も入っていません。

──産経新聞のインタビューでは、「日本にMOEAFの事務所を開設する」と発言されていますが、現在はどういった状況でしょうか
 日本での事務所開設に動いたのですが、さまざまな法律の問題から厳しいことがわかりました。現在は一旦停止していますが、法律が改正されれば、改めて検討したいと思います。

──ミャンマー人材については、日本ミャンマー協会と提携していますね
 2014年に提携の覚書を締結し、2019年に契約が満了しました。いくつかの問題が改善されたため、契約を延長しなかったという背景があります。

──現在、日本には専門スタッフはいないということですね
 MOEAFの駐在員は日本におりません。基本的に人材のアフターケアは各送り出し機関や監理団体が行い、昔のように逃亡する技能実習生も少なくなったため、不要となりました。労働関係の問題があれば、まずは送り出し機関が解決に向けて努め、次の段階で大使館関係者が対応、それでも事態が改善しないときは、MOEAFが仲介に入るというプロセスとなっています。現在、日本で解決できないトラブルはありませんし、非常に順調といえます。

──ミャンマー人を雇用する日系企業に期待したいことは
 やはり雇用契約通りの待遇や条件を遵守していただきたいですし、それが根幹となります。

──日本政府に期待したいことはありますか
 日本政府には、これまで以上に労働の機会を提供していただきたいです。日本での就労を目指すミャンマー人材は、日本語教育はもとより、ビジネスマナーや文化も理解し、よりスムーズに日本で働けるよう、ミャンマー側でも努力しています。PCR検査なども厳格化し、コロナ禍でも世界基準で手続きをしていますし、必ずや日本の役に立てる人材を供給できると考えていますので、より多くの就労機会を作っていただけたら幸いです。

 
新型コロナウイルスの影響①〜観光業

今期の見通しは昨対比50%

おそらく一番影響があったであろう観光業。日本を代表する旅行代理店H.I.S.では、Afterコロナをどう見据えているのだろうか。

──コロナ禍での売り上げはどうでしょうか
 6月と7月は実質ゼロになりました。今期の見通しは、8月からの第1四半期はゼロ、10月からの第2四半期で昨対比30%、来年1月からの第3四半期で70%、残りの第4四半期で80%で、全体としては昨対比の50%程度で計画を立てています。ただ、こうした見通しもまだまだ確定とは言い切れないところがあります。
 
──日本人が退避したことが大きいでしょうか
 弊社は売り上げの6割が駐在員によるもの。ミャンマーに戻ってくれば、国内出張なども増えますが、現状は飛行機での密な空間を避けるため、車で移動されているケースもあります。そうしたことからやはり日本人が戻れれば、動きが出てくると思います。
 
──国内観光については
 これまであまり注力していなかったミャンマー人の方々へのPRを始めています。現在、パアンが非常に人気。パアンのホテルの部屋を買い取るなどして、ホテルには前払いでキャッシュを支払って、お客様にはサービスを提供するという、三方よしのビジネスを展開中です。
 
──コスト削減のために日本人スタッフを減らすことは考えていますか
 ヤンゴンには日本人が4名おりますが、それは考えていません。なぜなら前述したように6割の売り上げが日本人の駐在員であり、日本人スタッフによるきめ細やかな対応が不可欠だからです。
 
──旅行業以外にも注力すると聞いています
 いろいろと試みはありますが、まずはビジネスサポート。ミャンマーの日系企業、進出を検討する国内企業を対象に、8月上旬、ZOOMでセミナーを行いました。また、駐在員が日本に退避している企業向けには、給料の立て替えなどもお引き受けします。また、紛失したくないような書類や機械を弊社で保管、さらに会社登記などもしますし、そうしたビジネスの需要喚起を図っていきたいですね。
 
──オンライン体験ツアーもありますね
 ヤンゴン観光をライブでお届けし、「買い物」体験付きのオンライン体験ツアーです。参加者には、モヒンガーやひよこ豆のチャーハンなどのミャンマー料理が届きます。こうした方法ではハンディキャップのある方も参加できるので、ポテンシャルは高いと考えています。ほかにもオンラインで有名な占い師に占ってもらうツアーなども計画しており、こうした取り組みからガイドさんに収入が入ることも意義は大きいと感じています。ほかにもミャンマー人向けECサイトの購入代行、社内デザイナーの外注作業など、あらゆるリソースを使って売り上げを維持していくつもりです。
 

H.I.S. Myanmar Travels
General Manager
白川 一城[Shirakawa Kazuki]