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新型コロナウイルス、総選挙でどう変わる? ミャンマー経済の行方(P.3)

NICE MYANMAR TRAVELS & TOURS Golden Support Service
社長
ニー・トゥエ[U Ni Htwe]

ギリギリまで経費をカット
新規開拓で売り上げ確保

──ビジネスの状況はどうでしょうか
 旅行業が3月までは5万ドル、レンタカーは8万ドル超という売り上げでしたが、4月から旅行業はゼロとなり、レンタカーは現在4万ドルほど。レンタカーの売り上げは昨年比の45~50%です。弊社のお客様は日本人のため、ミャンマーに駐在員が帰ってこない限り、厳しいです。一方、旅行業はまだ先がまったく見えない状況です。

──売り上げが落ちた分の対応は
 6月まで80%の給料を支給しましたが、現在は30~45%。可能な限りスタッフをケアしていきたいと考えていますし、会社の財務状況もスタッフに伝えています。レンタカーは現在70台中37台しか稼働しておらず、そうした実情もスタッフと共有しています。また、使用していない10台の車を売却し、借入金を完済しました。あとは徹底した経費節減ですね。

──新しい取り組みはありますか
 個人秘書サービスを開始しました。弊社には日本語人材が5人いて、彼らのスキルアップのため、レンタカーをご利用してくださるお客様のために現在は無料で提供しています。病院やゴルフ場の手配、メイドさんの日程調整などを行い、政府発表の情報をバイバーで共有するなど、非常に評判がいいです。

情報網という強みを生かし
顧客をマンダレーに送る

──コロナ禍で何かメリットはありましたか
 作業効率の向上を図ることで、2018年頃の仕事量を少人数で対応できるようになりました。あとはコロナによって、一層お客様との距離が近づいたと思いますし、そうしたメリットも大きいです。お客様の隔離ホテルには毎回差し入れを行い、偶然新規のお客様の案件でヤンゴンからマンダレーへの陸路手配をしました。地方での通行許可証やドライバーのPCR検査も必要でしたが、無事にマンダレーにお送りしました。

──選挙でミャンマーは変わると思いますか
 大切なのは憲法改正ができるようになるということ。そのために強い党を応援し続けていきます。

▲所有する車は70台。日本人がまだまだ少ないなか、平時の約半分の売り上げをキープしているのは特筆すべき

“飲み屋街”19番通り
一体どうなっている?

 古くからローカルや観光客にも人気の飲み屋街といえば、ダウンタウンの19番ストリート。コロナ以前は、国籍問わずさまざまな人たちが路上のテーブルに座り、ビールを飲むというのがお決まりの風景だった。だが、それはコロナによって一変した。
 3月末に発令されたレストランでの飲食禁止は、その後ソーシャルディスタンスを確保することで緩和されたが、2度目の禁止から約2か月が経過し、未だ営業を再開できていない。祖父から3代に渡り、同通りで飲食店を経営する店主は、当初はデリバリーを行っていたが、コストが合わず、休業を決めた。スタッフはレイオフし、ヤンゴンから約10時間かかる実家に送り届けたという。それでも再開時に店をすぐオープンできるよう、わずかな給料を支払い、つなぎとめている状態。19番通りの他店でも実情は同じようだが、倒産した店は「まだ聞いていない」とのこと。店主は「コロナでの政府の対応には感謝しています。ただ、発表は早めにしてもらいたかった。いつオープンできるかも早く教えてもらいたいです」と話した。

▲水かけ祭り後に再開したときの19番通り。
このときもまだ人は少なかった

 

▲レストラン「Kyaw Kyaw」の店主。「19番通りのなかでもミドルエリアは家賃が他よりも高いため、できれば早く営業を再開したいです」

~取材後記~
NLDの勝利で狂喜乱舞
重責がのしかかる新政府

 コロナショックの解決策は、いわずもがな平時に戻ること。ゆえに、いつ平時に戻るのか=経済活動を始められるのかが課題であり、かねてからポイントと目されていたのが総選挙だった。ミャンマー全土で感染は拡大しながらも、なんとか総選挙は実施され、ご存知の通り、NLDが勝利を収めた。
 11月10日、ヤンゴンにあるNLD本部前では、熱狂的な支持者たちが集まり、狂喜乱舞で悲願成就を讃えた。今年は水かけ祭りが自粛、経済活動は停滞し、3月以降ミャンマーに明るい話題はほとんどなく、そうした鬱憤が溜まりに溜まった後に訪れた一筋の光明。ことヤンゴン市内においては「総選挙まではNLDとともに頑張る」という確固たる意志を持った人も多く、道路の片隅で小学生にも満たない女の子が全身赤いファッションに身を包み、愛くるしく党旗を振りかざす姿が今も脳裏に焼き付いている。
 かくしてミャンマーの未来を左右する一大イベントが終わりを告げた。最優先課題は、経済活動の再開。すでにそうした動きは街からも見て取れ、当初こそ厳しい規制を敷いていた外出禁止令も今や形骸化し、街を歩けば生存活動に無関係な不要不急のお店もオープンし始めた。さすがに飲食店はクローズしたままだが、存続の限界に近づいている店舗は数えきれない。
 コロナという姿の見えない難敵と戦いながら、経済を動かしていくことは容易ではない。しかし、そうした難題もクリアしてくれるはずだと市民は期待を寄せてしまうし、自ずと新政府には重責がのしかかる。決して一朝一夕に物事が好転するとも思えないが、新生ミャンマーの動向に注視したい。(武田)

▲勝利を祝う支持者であふれたシュエゴンダイン通り。盛り上がりはクラブさながら