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新型コロナウイルス、総選挙でどう変わる? ミャンマー経済の行方

経済活動再開へのポイントと目されていた総選挙が終わり、政府から何らかの発表が待たれる現在のミャンマー。一方、新型コロナウイルス感染者は今もまだ多く、予断を許さない状況であることは間違いない。今回の特集は、ミャンマー経済という俯瞰した目線から、さまざまな情報をお届けする。
(※本記事は2020年11月10日時点での情報です。内容は変わることがあるので、ご注意ください。)

A1 Group of Companies 会長
Myanmar Tourism Federation 会長

ヤン・ウィン[U YAN WIN]

売り上げは昨年比50%
観光産業は壊滅的状況

数々の日系の建設現場で事業を行ってきたA1グループの会長や、ミャンマー観光業協会の会長も務めるヤン・ウィン氏。現在のビジネスから今後の展望、総選挙まで幅広い分野において、ミャンマーを語ってもらった。

──今年の経済状況をどう考えていますか
 2020年のミャンマー経済は、非常に厳しい状況です。まだコロナの感染拡大も落ち着かず、先が見えないため、影響はかなり大きいと考えています。また、観光産業はまったく動いておらず、中小の旅行代理店は、すでにいくつかの企業が倒産したと聞いています。一方、大手でも従業員の給料が半分や3分の1になったり、解雇するケースも。本来なら10月後半からは乾季のため繁忙期となり、業務を再開できると思っていましたが、それもかないませんでした。観光産業は壊滅的な状況です。

 また、建設業界では、現場が密になるため、ソーシャルディスタンスの指導もあり、労働者を減らして対応しました。一部の労働者は仕事を失い、弊社では米、油、豆などを支給。今は保健省の指示をあおぎながら、可能な限り現場作業を進めています。

▲注目の複合施設・Y COMPLEXの現場でも業務を行い、日系企業からの信頼も厚い
──いつ経済は回復すると思いますか
 コロナのワクチン次第だと考えています。現在の状況が半年続いても損失は大きく、1年続けば甚大になるでしょう。すでに観光地では、ホテルを売却したいといった声も増えています。しかし、現在購入しても運営ができないため、売りたくても売れない状況。観光産業については、ミャンマー政府も支援していますが、厳しいと言わざるを得ません。建設現場も同様で、もし現場でコロナの感染者が出ればストップするかもしれないのです。平時の売り上げに戻るには、2~3年かかるとみています。
 
──昨年との売り上げ比較は
 弊社が運営するホテル事業は5月まで売り上げがありましたが、それ以降はほとんどなくなり、今年は昨年比で15%ほど。また、建設業は昨年比で7~80%ほどで、グループ全体で約50%の売り上げになると予測しています。

倒産する企業は少なく
耐え忍ぶというケースも

──建設業でも倒産は増えていますか
 ミャンマーと他国で違いがあるのかもしれませんが、倒産というケースは決して多いわけではないと考えています。というのは、従業員をレイオフして経費を抑えながら、平時に戻るまで継続している企業が多いからです。耐え忍んでいるという企業が散見されます。

──コロナによるメリットはありましたか
 コロナ以前は何かと打ち合わせが入っていましたが、今ではオンラインで行うケースが一般的になりました。また、これまであまり普及していなかったデリバリーサービスやオンラインショッピングも注目され、今では当たり前のように活用されています。そうしたビジネスにチャンスが生まれ、経済においても好材料になると考えています。

──政府の対応については
 政府は概ね適切な判断をしていると思います。ただ、外出禁止令や工場やオフィスでの就業規則の発表については、対応が遅くなり、現場が混乱するケースが多々ありました。もう少し早く発表してもらえれば、ビジネスも生活もしやすくなると思います。

──選挙の結果は、経済に影響がありますか
 何よりも重要なのは政策であり、それによって変わってきます。ミャンマーは中国とインドという大国に対し中立の立場を保ち、今後も良好な関係を築いてほしい。また、国内の平和維持活動に努め、貧困を撲滅する政策に期待したいです。