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コロナ禍でどうなっている? 日系事業のリアル

再び発令されたヤンゴンのセミロックダウン。今回は、縫製業(CMP企業)やODAを含めた建設などの業種にまで範囲が拡大され、日系社会に大きな衝撃が走った。
ミャンマーの新型コロナウイルス感染者は今も増加傾向であり、一方でまだ日本に残るビジネスマンは多く、明るい展望が見えない状況が続く。そうしたなか、日系企業はどういった施策でこの現実と対峙しているのだろうか?

ODA(政府開発援助)

JICA

Q.注目案件の進捗を教えてください
A.バゴー橋建設事業をはじめ多くの事業において、日本企業の皆様やミャンマー政府の実施機関のご尽力により、コロナ禍でも事業を継続してきました。また、救援便により一時帰国していた事業関係者がミャンマーに再渡航し、事業や協議が再開するなど進展もみられました。しかしながら、9月以降のコロナ感染拡大に伴うヤンゴン地域での外出規制により、人の移動、物流などが著しく制限され、一部の事業では工事の一時中断を余儀なくされています。
 
Q.入札は進められていますか
A.入札に必要な準備が整っている事業では、順次調達のプロセスが進んでいます。ただし、実施機関と応札予定企業の双方とも空路や陸路の移動制限をはじめとする各種規制に従う必要があり、プロポーザルの提出、契約に関する交渉、実施機関内の承認手続きなどで従来以上の時間を要していることも確かです。今後、入札を迎える事業については、実施機関はさまざまな制約の中で調達を進められるよう工夫することが求められており、JICAとしてもそのプロセスを後押ししていきます。
 
Q.納期が遅れた場合、補填コストはどうなるのでしょうか
A.納期や追加費用は契約の規定に基づき対応する必要があり、まずは契約の当事者である実施機関とコントラクター間で協議いただく必要があります。例えば、コントラクターがコロナ禍を“不可抗力”として納期延長を求める場合には、契約で定められたタイミングで実施機関に対して通知を行うなどの手続きを行う必要があります。他方、実施機関との調整に困難が伴う場合、JICAは在ミャンマー日本大使館と連携の上、実施機関と協議していくことも可能ですので、日本大使館やJICAとの密な情報共有をお願いいたします。

進出問い合わせ

JETRO

Q.ミャンマー進出への問い合わせは減っていると思われます
A.コロナ禍が本格化する前には、ヤンゴン事務所の相談案件は日本からの来訪者が全体の7~8割を占めていました。しかし、3月末以降、外国人の入国制限措置などで、こうした相談案件がほぼゼロとなってしまいました。現在はオンラインを使った相談や商談、セミナーなどを開催しています。日系企業のミャンマー進出にあたり、専門家からの法務・労務・税務のアドバイスや市場調査を行う「中小企業海外展開現地支援プラットフォーム事業」というものがありますが、こちらの申し込み件数は前年とほぼ変わりません。今年はポストコロナに向け、市場調査への依頼が増えています。
 
Q.進出について前向きな動きはありますか
A.日本政府が肝いりで進めている「アジア・デジタル・トランスフォーメーション(ADX)促進事業」と呼ばれるデジタル技術を使った新たなビジネスモデルの実証事業では、多数の公募の中、ミャンマー案件は4件が採択されており、タイの7件に次いで多くなっています(以下マレーシア3件、ベトナム2件など)。今は大変な時期ですが、日本企業の関心やミャンマーのポテンシャルが消失したわけではないので、コロナ禍でもできることを着々と進めていきたいと思っています。

建設

FUJITA&東京建物
「Y complex」

Q.工事の進捗はどうでしょうか
A.政府による自宅待機要請などにより、開業スケジュールの遅れは若干見込まれる予定です。
 
Q.コロナ禍で困っていることは
A.お客様と面談が困難になったことです。
 
Q.どういった戦略で顧客を獲得していきますか
A.コロナ禍に伴う戦略変更は原則的にはありませんが、コロナの影響だけではなく、総合的なマーケットを見て、賃料・宿泊料などは決めていく予定です。日本品質の「安全」「安心」な建物および竣工後サービス(インフラ環境・衛生管理)をPRしていきたいです。日本、ミャンマーでのご面談(TV会議含む)が可能ですので、オフィスのみならずサービスアパートメント、ホテルを含めてお気軽に問い合わせいただければと思います。
 

三菱商事&三菱地所
「Landmark Project」

Q.工事の進捗はどうでしょうか
A.2021年末までの竣工を目指しており、影響の詳細は現在精査中ですが、2022年上期にずれ込みそうです。
 
Q.コロナ禍で困っていることは
A.グローバルでの物流遅延、調達先の経済活動停滞により、海外からの資機材調達や搬入の遅延、感染予防対策、夜間外出制限で作業人員や時間への影響などが出ています。
 
Q.どういった戦略で顧客を獲得していきますか
A.不動産事業は中長期に結果を出していくビジネスだと考えております。よって、引き続き現地の方々や日系含む各企業の活動が平常化した際に、安心してご活用、楽しんでいただける社会インフラとなるべく着実に事業を進めていきます。
 

鹿島建設
「ヤンキン地区複合開発プロジェクト」

Q.工事の進捗はどうでしょうか
A.4月以降の政府の諸規制によって工事進捗には影響を受けており、9月下旬からのStayat Home期間中は政府の指示に従い、作業を一時的に停止しました。当初工程から影響は出ていますが、竣工・開業予定は2024年中とまだ先であるため、今後影響を最小限とすべく取り組んでいく所存です。
 
Q.コロナ禍で困っていることは
A.工事に直接影響がある種々規制(夜間外出規制、現場内作業での物理的距離の確保など)や、日本などから技術者が出張で出入りできないことです。
 
Q.どういった戦略で顧客を獲得していきますか
A.竣工までまだ時間があるので、現時点で大きな変更はありませんが、今後の市況、動向を見極めつつフレキシブルに対応していきます。

自動車販売

TOYOTA(Toyota Aye & Sons)

Q.コロナ禍での自動車販売(2020年4月~8月)の実情を教えてください
A.2020年4月~8月の販売台数は前年120%超で好調に推移し、9月4日~6日で実施したCorolla Cross新車ローンチイベントでは過去最高の販売台数を記録しました。しかし、9月11日にRTA(自動車登録局)の閉鎖によって販売活動が停止し、現在も再開時期が未定となっています。
 
Q.好調の理由を教えてください
A.主に2点だと考えており、一つはミャンマーチャット高という為替によって購入しやすくなったこと、もう一つは輸入車のみに適用される減税対策です。
 
Q.コロナ禍での販売向上の対応策は
A.ショールームやイベント会場での活動が制限されているため、Facebookを活用したマーケティング活動に注力しています。TTASのFacebookフォロワー数は45万9000人と、ミャンマーにおける自動車ディーラーの中では群を抜いている状況です。9月上旬に実施したCorolla CrossのローンチイベントもFacebook上で実施し、現時点で累計30万の視聴回数を記録。今後もユニークかつオリジナリティの高い動画コンテンツを提供し続け、弊社のファンを一人でも多く増やすことを目指していきたいと考えています。
 

SUZUKI

Q.コロナ禍での自動車販売(2020年4月~8月)の実情を教えてください
A.対前年比80%となっています。
 
Q.減少した要因については
A.陸運局での新車登録業務が停止してしまったこと、また、政府の要請による自宅待機措置に合わせて多くの販売店が稼働を停止したためです。
 
Q.コロナ禍での販売向上の対応策は
A.感染対策をしっかり行い、お客様に安心して来店いただける体制を築いています。
 
Q.ユーザーが来店せずに契約は決まりますか
A.ミャンマーのお客様は実車を見て最終的に購入を決められる方が多く、現実的には契約までこぎつけるのは難しいです。