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民間、ODA、止まらないミャンマー投資熱 競争激化の建設市場

日本の官民を挙げて推し進めるプロジェクト「Y complex」(仮称)。
すでにヤンゴン在住のビジネスマンから注目を集め、期待も高まっている。
設計・施工を担当したフジタ、オフィス運営を行う東京建物の担当者に、その全貌を語ってもらった。

フジタ 海外開発事業部
事業企画部長
井上祥一
INOUE SHOICHI

東京建物アジア(ヤンゴン支店)
取締役支店長
八木秀樹
YAGI HIDEKI

注目のオークラ プレステージ
オフィスでトップを目指す

 ヤンゴンの一等地、シュエダゴンパゴダ近くで、ダウンタウン至近に建設中のオフィス・ホテル&サービスアパート「Y complex」(仮称)。フジタ、東京建物アジア、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)の日系連合で出資しエアヒンター社と合弁を設立、総事業費は約3億3,250万米ドル(約377億円)で、そのうち約8割を日系が占め、官民を挙げて推進する一大プロジェクト。ミャンマー新投資法で許可を受けた第一号案件でもある。

 2021年に開業を予定し、総延床面積は約92,000平米、抜群の立地という点からも大きな話題を集めている。フジタと東京建物が当地での事業管理者であり、フジタはJVにおける代表企業で設計・施工を担当。東京建物は竣工後のオフィス運営管理者であり、プロパティマネージャーとしてオフィスのリーシング営業などを行う。

 その大型の規模感もさることながら「ホテルオークラ」の開業もホットトピックの一つ。「オークラ プレステージ」というハイグレードラインで、ファシリティからサービスに至るまであらゆるものを最高級で揃える。レストランはオークラの代名詞でもある「山里」の進出が決定し、接待店としてビジネスマンから重宝されるのは必至。結婚式や大型セミナーにも対応するボールルームもあり、ヤンゴンで増加中の高級ホテル商戦に名乗りあげる形となる。

 サービスアパートの運営もオークラが行い、居住者はホテルと同等のサービスを受けることができるため、そちらも目玉となるだろう。部屋数はホテルと合わせて約400室を予定。「スタジオ、3ベッドまで揃え、単身からファミリーまでご利用いただけます。オークラが運営するので、日本のクオリティそのままを体験できます」と話すのは、東京建物アジアの八木取締役支店長。

 オフィスも特筆すべき内容となっている。総貸床面積は約22,000平米、1フロアは約2,800平米で、もはや丸の内クラスのビルとも遜色ないサイズ。受付やセキュリティ、エレベーターから高速インターネット、トイレに至るまでジャパンブランドにこだわり、「サイズは117平米から用意し、大小規模に関わらず、日系企業にご利用いただきたい。当地でNo.1のオフィスビルを目指したいと思います」と八木支店長。すでに多数の問い合わせが入っており、期待値の高さを物語る。

 それだけではない。商業エリアを用意し、レストランやカフェ、ショッピングスペースも予定。ホテルがラグジュアリー路線のため、こちらではオフィスユーザーを意識し、日常使いができるテナント誘致を計画する。「週末には外からも多くの方に来ていただけるようなテナントに入ってもらいたいと考えています」と八木支店長。

ミャンマー政府要人が視察
日本の現場をこの地で再現

 工事現場で毎日従事するスタッフは約1,300人。作業所エントランスでは顔認証によるセキュリティシステムを導入し、入場者のセキュリティー強化を図っている。安全基準はフジタが海外で適用する管理基準を採用し、全スタッフに徹底、ロンジーやサンダル姿というワーカーは当然皆無だ。

 資材の調達は輸入によって賄い、一部をティラワSEZの倉庫にストックさせ、過不足なく適宜運搬している。足場や建機レンタル、プレハブに至るまですべて日系企業が担当。まさに日本と変わらない工事現場を実現した。「ASEANのなかでも、きれいに整理整頓されている現場だと思います。フジタは、2016年のティラワSEZでの施工から再始動し、経験を積み、この開発に着手できているため、現在のところ順調に進んでいます。進捗状況としては約40%ほど」と語るのは、同社の海外開発事業部・井上事業企画部長。ミャンマー当局の要人がしばしば視察に訪れ、整えられた現場を見て「ミャンマーの工事現場とは思えない」といった感想を漏らすほどだ。

 日系企業の技術力が結集するY complex。そのベールがはがされる2021年が待ちきれない。

▲ミャンマーとは思えないほど整理整頓された工事現場。フジタが採用する安全基準を導入し、工事を進めている

▲丸の内さながらのオフィスに仕上がり、まさしくジャパンクオリティを実現。すでに問い合わせも入っているという