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外資ビジネスの実情は一体どうなっている? 最新版 ミャンマー進出動向

Htun Khaing International オンデマンド物流マッチングプラットフォーム「Hi-So」

ミャンマーの課題解決に寄与
IT技術を使った物流サービス

Htun Khaing International Managing Director
高田健太 [Takada Kenta]

外資規制がなく、進出しやすいのがIT。この国でITを駆使し、課題解決を目指して動いているのが、インフルエンサーとしても知られる高田氏。果たしてミャンマーのIT事業はブルーオーシャンなのか? 会社登記から人材、今後の展開など話を聞いた。

ITは登記後、即事業可能
低コストでスタートも

 オフショア開発のためにミャンマーに進出しているIT企業は多数あるが、この地でローカル向けにサービスを提供する企業は少ない。しかし、2018年11月、一人の日本人がミャンマー初となるオンデマンド物流マッチングプラットフォーム「Hi-So(配送)」のサービス提供を開始した。物流のボトルネックである“ラストワンマイル”のソリューションをもたらし、モバイルアプリ(iOS/Android)では利用者向けとドライバー向けに開発、利用者はアプリを通じてHi-Soドライバーをすぐに見つけ、即日での配達を依頼することが可能。「元払い」「着払い」ともに対応し、COD(現金代引)も導入、配送地域はヤンゴン市内のほぼ全域をカバーする。

 同社の代表を務める高田MDは、ミャンマー人向けFacebook(以下FB)のページで17万人以上のフォロワー数を獲得、アジアトップクラスの日本人インフルエンサーとして知られている。しかし、自身の発信力を生かしたネットマーケティングではなく、着手したのは前述した物流。「あえて直球でミャンマーの課題を解決したいと思いました。自分の生活に置き換えたとき、時間通りにモノが届かない物流にストレスを感じていたので『これだ!』と思ったわけです」。

 金融や小売りなど、起業する際に何かとネックとなるのが外資規制。しかし、IT分野においては特に規制はなく、会社登記も驚くほど簡単。2018年に制定された新会社法では、ウェブを使ったMyCo(マイコ/https://www.myco.dica.gov.mm/)上で行えば、それだけで完結してしまう。「我々は新会社法以前に登録していましたが、再登録が必要でした。これまで提出する定款の書類に業種の明記が必須で、認可にも時間がかかりました。しかし、MyCoでは記載が不要なんです」。ちなみに同社は配送サービスであるが物流業ではなく、あくまでもITプラットフォームという形で登録。これは配車アプリのGrabやUberも同様であり、デリバリースタッフ(配達人)とは業務委託契約という形のため、外資規制には抵触しない。

 MyCoの登録後、早ければ30分ほどで認可が完了し、すぐにでも始業できるというから驚くしかない。しかも、この国ではインターネットトラフィックに占めるFBの比率が85%超えとされ、FBをうまくマーケティングに活用すれば低コストでも事業を開始できる。「ミャンマー人を1人だけ雇用し、見込み客だけに提案をするなど、省エネでスタートすることが可能です」。

IT人材のレベルは低い
事業拡大のポイントは?

 現在、同社のスタッフは20名弱で、デリバリースタッフは約30名。IT事業において最も気になるのがエンジニアの技術力だが、高田MDは「ベトナムなどと比べると非常に低いです」と話す。「独学で覚える人間もいなければ、大学でも1人に1台PCが与えられることもなく、紙にコードを書くような実情も聞きます。ウェブを作れる人間はいますが、複雑なアプリなどは厳しい。よって才能を見抜いて、育てるしかないですね」。また、クレジットカード決済においては中間業者が必要となり、チャットを扱える業者が数社しかなく、手数料は決済額の5%を利用者から課金。これではクレジットカードの普及も厳しいと言わざるを得ない。「弊社の場合、デリバリースタッフが荷物を受け取ったときにトランザクションが発生しますので、いわば取りっぱぐれがないんです。そうしたリスクヘッジは重要かと思います」。

 Hi-Soのオペレーションが安定し、すでに次の一手を見定めているという高田MD。Hi-Soを進化させたECサイト「Hi-So Mall」を6月末にローンチ予定だ。これは同サイト内で購入した日用品などを1時間以内に消費者に届けるサービスで、すでに42の店舗と契約を結び、順次商材も拡大していくという。

 見据える先は、デリバリースタッフの大量契約。「仮に300人になればブレイクスルーします」と高田MDは断言し、そのときにはビッグデータが活用でき、あらゆる事業に役立てることができるという。「当然、物流費も下がりますし、ユーザーとの関係性もウィンウィン。そのときに初めてこの国の課題解決に貢献できたと思えるのではないでしょうか」。

▲毎日、街中を走りながら消費者にモノを届けるデリバリースタッフ。若き日本人起業家が手がけるサービスが、ミャンマーの物流システムに変革を起こそうとしている。

▲6月末ローンチ予定のECサイト「Hi-So Mall」。
1時間以内に日用品などを届けるため、ローカルのみならず、ヤンゴン在住の日本人にもスケールする可能性を秘める。