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外資ビジネスの実情は一体どうなっている? 最新版 ミャンマー進出動向

Myanmar Yazaki Thilawa ワイヤーハーネスの生産

自動車の電線・ワイヤーハーネス
12月からティラワで生産を開始

Myanmar Yazaki Thilawa Managing Director
奥山秀樹 [Okuyama Hideki]

ワイヤーハーネスの世界シェアトップクラスを誇る矢崎グループ。
今年12月より、ミャンマーではまだ珍しい自動車部品の生産を行う。
なぜミャンマーを選んだのか? ティラワは同社におけるどういった位置づけなのだろうか? 現地で舵取りを任される奥山MDに語ってもらった。

自動車の重要部品
今年12月より稼働

 自動車の神経や血管にも例えられる部品、ワイヤハーネスの世界シェアトップクラスを誇る矢崎グループ。自動車部品から電線、ガス機器、空調機器などの製造販売を行う、日本を代表する製造業企業の一つである。

 世界46の国と地域で596拠点を有し、従業員は全世界で30万人超え(2018年6月20日)。1960年代より、タイを始めとする海外に拠点を展開し、ASEANではフィリピン、ベトナム、インドネシア、カンボジアでも生産。矢崎グループのタイ法人YICアジア・パシフィック・コーポレーションによるミャンマー進出は今年4月に発表され、ティラワ経済特区(SEZ)ゾーンAにて今年12月より稼働予定。工場面積は約4500平方メートルで、スタッフは約530名を見込む。

 進出目的は、ASEAN内の製造拠点の強化であり、タイプラスワンという位置づけとなっている。タイではすでに裾野産業が充実しているため、複雑な部品の製造にシフト。労働集約型のワイヤーハーネスの生産が追いつかなくなる可能性もあり、人件費がまだ低く、真面目な国民性という観点からミャンマー進出を決めた。「我々は視察のときに、各国の小学校などを訪問し、教育現場をチェックします。ミャンマーでは僧院を訪れ、協調性や挨拶、掃除といった日常の様子を確認したうえで、モノづくりに向いているかを判断しました」と話すのは、この地でMDを務める奥山氏。
▲ワイヤーハーネスは、自動車の電気・電子機器をつなぐ非常に重要な役割を持つ部品。さらに同社の高電圧ハーネスは、高い信頼性を背景に世界中の自動車メーカーのHV、EVに採用されている。

10年構想も計画
製品はタイに輸出

 当初はティラワではなく、地方での進出も検討したが、土地の確保、通関を含めた物流、電力インフラへの不安は尽きず、それらの問題をクリアするティラワSEZを選択。現状はMJTDが提供するレンタル工場から事業を開始する。ティラワを「ミャンマーでのパイロット工場」として人材育成に努め、事業が順調に進めば、地方での工場建設も視野に入れた“10年構想”も計画。「弊社のASEANオペレーションは、1国1万〜3万人の規模ですが、仮にティラワで従業員を増やしても最大1000名ほどでしょう。規模を拡大する際には、ほかの地方への進出も検討し、地域社会に貢献したい」と奥山MD。

 同社はタイ法人YICアジア・パシフィック・コーポレーションが設立した製造拠点であり、人材育成においては、タイにスタッフを派遣し、一方でタイから技術スタッフがサポートする。生産については、タイから資材を輸入し、ティラワで製造後に再びタイに輸出する予定だという。「今後の自動車メーカーのニーズに対応しながら、最適な生産体制を確立していきたいと考えています」。

 ミャンマーのみならず、あらゆる国において自動車産業は製造業における大本命であり、同社の進出はミャンマーにとっても注目案件であることは間違いない。奥山MDは「外資による自動車部品の生産は、この国で初の事業だと認識しております。弊社の事業を通じて、スタッフにはミャンマーの発展に尽くしてもらいたいですし、我々はそのうえで、矢崎グループの社是である『世界とともにある企業』『社会から必要とされる企業』の実現に努めたいですね」と語った。
▲ティラワSEZのゾーンA 内のMJTDレンタル工場にて生産し、すべてをタイに輸出予定。
土地の確保、物流、電力が落ちる心配のないティラワに進出を決めた。