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ミャンマー在住者最大の関心事 実録!医療最前線

CASE-2 出産

苦労して自然分娩の専門医を見つけるところから開始し、途中でもトラブルが連発。本当にミャンマーでの出産は可能なのか?Yさん(当時27歳)の苦労話から実情を読み取ってほしい。
  Yさん(29歳) 主婦
予定より10日以上の早産
ドタバタが当日まで続く
 そもそもミャンマーで出産しようと思ったのは、子どもが産まれたときに家族3人でいたいという思いが強くあったからです。主人はヤンゴンで仕事をしていますので。
 あと最終的には実家の母に相談したとき、「どこで産んでも一緒」とアドバイスをされ…(苦笑)。確かに一歩街に出れば、ローカルの子どもたちは元気ですし、「私にもできる」と思うようになったんです。不安ですか?産むまで不安しかなかったですよ(笑)。
いざ自然分娩が得意な先生を探してみると、帝王切開の専門医が多い一方、自然分娩は圧倒的に少なかったんです。ようやくある病院で自然分娩が得意な先生を見つけましたが、産む直前まで「自然分娩は痛いので、帝王切開の方がいいんじゃない?」と言われ、主人も「やはり日本に帰った方がいいかも」と徐々に自信がなくなっていきました。信じられるのは自分だけと毎回検診が終わるたびにインターネットで調べたりして、あらゆるリスクに備えていました。
 その病院は、胎児を4D撮影できる最新の機械がありましたが……、エコーと産婦人科の先生が別なので結果が違うんです。産婦人科は経験豊富な先生ですが、いまいち機械を理解していない。エコーの先生は、エコーを取るだけでそこまで機械慣れしていない。あるときは羊水の量が少ないと言われ、子どもの体重も適当だったこともあります。わずか1週間で500g増減したり…。
  そういった見誤りは出産当日まで続きました。娘は12月23日に生まれたのですが、前日の検診では「まだ下に降りていないから1月5日くらい」と言われました。安心しきっていたら、翌朝から調子がおかしいんです。とにかく痛みが止まらない。ただ、予定日は先なのでのん気に主人とイタリアンを食べたりして、その後、改めて病院に行ったら、「子宮口が3cm開いている。なぜすぐに来なかったんだ!?」と怒られ、即入院ですよ。「今日か翌日には産まれる」と言われ、入院部屋に移動になり、寝ていました。準備をしていなかったので主人に着替えなどを家から取ってきてもらうようお願いした10分後、突然「パン!」と大きな音がして、まさかの破水です。
主治医が突然の交代 「旅行なので行けない」
 部屋には私一人っきり。病院側もすぐに出産とは思っていないので、ナースコールの場所も教えてもらえませんでした。かろうじて自分で見つけたのですが、入り口付近にあり、ベッドからははるかに遠いんです。ネットで調べた「破水後は横になっていないと羊水が出てしまうので、あまり動かないように」というのを覚えていたので動けず、外に向かって大声で叫ぶのですが誰も来ません…。結局、主人に電話で伝えて、主人から病院側に言ってもらいました。主人は渋滞で足止めされ、すぐに病院に引き返してくれて、結果的にラッキーでした。
 しかし、再び問題が勃発しました。クリスマス前だったので主治医がタイ旅行のために空港に向かっていて、「行けない」と言うわけです。「出産予定日は1月5日だから予定を入れてしまった」と。そして、一度も問診もしたことがない医師2人が出てきて、出産直前に主治医が交代。あれよあれよと陣痛の感覚が狭くなってきて、医師からは「最低でも6~8時間はかかる」と言われ、あまりの痛みに気が遠くなりそうでした。
 午後9時、分娩室に移動し、しばらくすると子どもの頭が出たとわかったのですが、先生たちはおしゃべりをしながら準備をしていて誰も気づかない……。なんとか自分で伝え、その後は順調に出産しました。破水から2時間ほどでしたので安産だったと思います。
 出産後、すぐに子どもにB型肝炎の注射を打ち、血液型も調べてくれて、すべて20分くらいで完了。9時半には家族3人で面会することができました。それどころか出産初日に一家3人、川の字で寝ることができたんです。日本ならありえませんよね。
 子どもは今も健康そのものです。いずれにせよ、あらゆるリスクを自分で調べることが大切だと思います。

CASE-3 狂犬病

ミャンマーだからこそ気をつけたいのが、犬に噛まれること。狂犬病は発症したらほぼ100%で死亡するため、普段から注意が必要。実際に噛まれた経験のあるKさんに当時を振り返ってもらった。
  Kさん(32歳) 美容関係オーナー
 犬に噛まれたのは、2016年3月。当時はタウンハウスに住んでいて、噛んできたのはセキュリティが飼っていた犬でした。普段から可愛がっていた犬だったのに、たまたま真横を歩いて通ったときに、犬もびっくりしたんでしょうね。本能的に噛みついてきたんだと思います。サイズは中型の雑種犬でした。後ろから太ももに噛み付かれ、どうやって振りほどいたのかあまり覚えていないのですが、すぐに家に戻りました。
 知人のミャンマー人に相談すると、「これはヤバイ」ということになり、すぐ近くの総合病院に向かいました。ミャンマー語は一切話せなかったので、付き添いで来てくれたミャンマー人が病院に説明。その病院は狂犬病専用の受付があったため、迅速に対応してもらえました。
 その後は、ご存知の通り注射の嵐です。その日は計5本。お尻に2本、肩口に1本、そして激痛だったのが咬傷部位への局所注射2本。生死に関わることだったのでかなり気を張っていたんですが、激痛に耐えられず思わず涙が出てしまいました。「私ミャンマーまで来て、一体何やっているんだろう」って……。心もきっと弱っていたんですね。その日は結局、注射を接種して終了でした。
くっきりと歯型が。噛まれた跡が痛々しい。
 その後は1ヵ月おきに2回の追加接種を行いました。さすがにもう患部に打つ注射はなかったので、痛みはそこそこ。噛まれた部分はしばらくは痛かゆいという感じでしたね。ただ、私は事前に狂犬病の予防注射を打っていたので3回で済みましたけど、打っていない人は5回の接種が必要だと聞いています。ちなみに治療費は初回が20万Ksほどで、あとは10万Ksくらいだったと記憶しています。
 日本時代は犬が大好きだったんですが、さすがにもうダメになってしまいました。特に夜の一人歩きを避けること、犬にも近づかないようにしています。

CASE-4 デング熱

社内で5人が同時に感染するという異常事態に見舞われたAさん。そもそもデング熱とはどういった症状なのか?治療方法は?回復までの過程を紹介する。
 Aさん(40歳) IT関係勤務
 社内で5人が同時に感染するという異常事態で、私が一番最初に発覚しました。突然、体調に異常をきたし、熱を測ると39度。病院に行ったら十中八九デング熱との診断で、再度検査に行ったときに正式に告げられました。
 感染2日目以降は高熱に加え、頭痛がひどくなりました。夜は寝つけないほどで、ベッドを這いずり回るような状態。お盆直前で帰国予定だったこともあり、日本で治療しようと思ったのですが、そこで問題となるのが血小板の低下です。というのは、血を凝固させる血小板が少なくなると、血が止まらなくなり、飛行機に乗れなくなるんです。実際低下は始まっていたのですが、なんとか認められ、保険会社に連絡するとエコノミーがビジネスクラスにアップグレード。ヤンゴン空港でも成田空港でもANAさんのご配慮で車椅子の移動でした。成田では検疫所で簡単な問診をし、保険会社が用意してくれた車に乗って新宿の病院に直行したんです。
 ただ、日本の病院といえど、デング熱に特効薬などありません。自力で治すしかないんです。症状は高熱と頭痛に加え、さらに発疹が出てきてトリプルパンチ状態。それでも3、4日後にようやく熱が下がりだし、症状も和らぎましたが、最後は肝臓がやられていました。ウイルスを殺すために内臓もフル稼働していたようで、数値を戻すために安静にしていました。
 ちなみにデング熱にかかった私以外の4人のうち、1人は日本出張中に発症し私同様、日本で治療。上司2人は血小板があまり下がることもなく、重症化しなかったのでヤンゴンの病院に通っていました。残り1人は若い女子社員で血小板が下がったため、急きょバンコクに行きました。バンコクの大手病院の場合、保険適用がスムーズで、診察も迅速なので安心です。
 危惧するのは、重症化しやすい2度目の感染。デング熱にかかるまでは蚊の対策などまったくしていませんでしたが、今では殺虫効果の高い虫除けスプレーを常備し、なるべく長ズボンを着用しています。