日本在住17年目のミャンマー人が見たクーデター

NUG政府とは?

NUGとはミャンマーの国家統一政府でNational Unity Governmentの略です。クーデター後にCRPH(連邦議会代表委員会)によって設立されました。国軍の解体と少数民族との対立を取りまとめて国家を統一するのが使命です。9割以上のミャンマー国民が支持している国家を代表する組織です。

NUGのメンバーは2020年11月の選挙で当選した議員と各分野の学者とNGOの方々で構成されています。正式なメンバーは数十人ですが背後には世界各国のミャンマー人も含めて300を超える方々に支援されています。

NUG以外にもNUCCとして少数民族武装勢力(EAO)との対話をすすめて連邦法の確立を目指す組織も設立されました。

メンバー
NUGの公式サイトでは国家顧問のスー・チー氏とウィンミン大統領は在籍のままで構成されています。臨時大統領はカチン族、連邦首相はカレン族の方が任命されています。

それ以外の各行政機関では、7大民族のビルマ族以外にカチン、カヤー、カレン、チン、モン、シャンなどほぼすべての民族の方を大臣と副大臣として任命しています。これは今までのビルマ族を優先してきた歴史から大きく変わった形です。

NUGの公式サイトはこちら

所在
NUGメンバーは全員国軍から逮捕状が出されています。もし国軍に拘束されたら間違いなく拷問の末の死が待ち受けています。したがってNUGメンバー解放地域に避難して活動を続けています。解放地域とはEAOの支配の地域を指します。

すべてのEAOが安全ではなく、国軍と取引をして国軍と同じことをやっているEAOも存在します。NUGメンバーは国軍の解体という同じ目標を掲げたEAOの地域で匿ってもらっている形です。

EAOの中で唯一NUGを支持して国軍と戦って行くと発表しているのはチン族の武装組織(CDF)のみです。それ以外のEAOは同盟としてPDFの訓練や武器の調達といった支援をしています。

KIA(カチン)、KNU(カレン)、KNPP(カヤー)、DKBAの一部(カレン)、RCSS(シャン)などのEAOはNUGと同じく国軍を解体していくという目標を掲げています。

NUG配下の新設行政機関
以下の行政機関はNUG政府が独自結成して組織しています。
- 財務
- 外務
- 内務
- 法務
- 連邦統一
- 医療&スポーツ
- 教育
- 地下資源
- 防衛
- 福祉
- 電力とエネルギー
- 人権と労働
- 外国連携(NUGの世界に向けたへのロビー活動)
- デジタル
- 女性と子供の権利

これらはすべて国家を統治するために必要不可欠な機関です。NUGは世界に向けて国家の統治能力があると証明するために必死に取り込んでいます。NUGの大きな目的は世界各国にNUGをミャンマーの正式な政府として認めてもらうことにあります。

またミャンマー代表国連大使のチョウモートゥン(Kyaw Moe Tun)氏が仲間に加わってくれました。チョウモートゥン氏はクーデター後の国連総会で祖国のミャンマーの現状を正しく発表し、指3本を立てて涙ながらに国連への支援を促しました。また8月にアメリカで国軍によるチョウモートゥン氏の暗殺未遂事件が発覚しました。

世界規模の支援ネットワーク
NUGのメンバーとその協力者はほとんどが無給で活動しています。唯一の資金は国民による支援金です。

全世界に暮らすミャンマー人の協力で募金ネットワークを結成しました。NUG公認のグループ経由でミャンマーを支援できるようになりました。世界各国にあるNUG公認のグループを通して現地の各国の通貨で直接支援できるようになっています。

一時はクラウドファンディングサイトで支援金を募ったところ利用規約に引っかかってサービスの利用を停止させられたらこともありました。最近は銀行やサイトなどを経由せずに米ドルと連動する仮装通貨で直接支援することも可能です。

他国のとの連携
チェコがNUGをミャンマーの正式な政府と認めた第一国です。北欧各国もNUGの支持を名言しています。NUGメンバーと日本の議員連盟と連携して日本政府がNUGを認めるように働き変えています。米外務省副長官とNUGの外務大臣のジンマーアウン氏が会談して米国がコロナ対策用に20億ドルを支援することが決定しました。

またロヒンギャの人々の帰国をと生活安全を保証すると名言しました。それから国際刑事裁判所に関するローマ規程(ICC)への参加を急いでいます。ミャンマーがICCへの参加することになればテロリスト国軍の犯行を国際社会の裁判でさばくことが可能になります。

コロナ対策
当初からコロナ感染第2波で活躍した教授が医療とスポーツの大臣として任命されています。インターネット上でコロナ対策の教育コンテンツ配信や問い合わせホットラインの設置なども行っています。少数民族の医療サービス団体と連携して全国規模の医療サービス提供ネットワークを構築しました。コロナワクチンの確保も取り込んでいます。

国軍への反撃
NUG政府は国民と一体になって国軍を歯向かっています。

経済的な政策として国軍閥企業の製品の不買運動、ドイツに対する紙幣の用紙輸出の禁止を依頼、国債発行の不買とひすい展覧会への不参加などを呼びかけています。税金や電気料金の不払いと宝くじの不買運動によって国軍の収入の大部分を減らすことができました。

防衛に関してはデモ隊の指示と市民防衛隊(PDF)の結成を行いました。解放地域でのEAOによるPDFの訓練も行っています。

市民的不服従運動(CDM)参加者の生活費の支援や兵士や警察館のCDM参加者の安全を守ることNUGの活動の一部です。

クーデター以降の国軍の犯した犯行記録を集めること行っています。国軍への一番の打撃は国際社会が国軍をミャンマー政府として認めないことです。そのためにNUGは国軍の犯行をすべて収集して国際社会がミャンマー国民のとって不利な決断をしないために努力しています。

宝くじ
クーデター後はNUG政府の呼びかけによりミャンマーの宝くじは全く売れませんでした。宝くじの売上は国軍の資金につながるのが不買運動につながった理由です。

8月に入ってNUGが独自の宝くじを販売しました。ネットで買うことができて一枚の値段は日本円で約130円です。8月15日の初回販売では即日5万枚が瞬時に売りきれました。運営側の対応が追いつかないほどの反響がありました。

NUGの宝くじの売上の7割はCDM参加公務員への支援に当てられます。残りの3割は賞金です。賞金目当てで購入した人はほとんどいないと思っています。

NUGの資金源を断つべく国軍はネットの送金口座の規制や取締り急いでいます。口座情報が一件ずつ調査されて凍結されたりしています。

本来であれば国軍はネットバンキングを停止させたいはずですがそれができない理由があります。銀行から下ろせる額が制限され、紙幣を刷るための紙不足で経済が破綻寸前の状態でネットバンキングでなんとか必要最低限の取引ができている状況です。その中でネットバンキングが停止されると国民全体を的に回すことになるからです。

NUGをは救世主か
先週、国軍との戦闘を始めるための最終調整の段階に入ったと臨時大総統が話しました。また防衛費として500万ドルを調達すべく懸賞券売り出しました。売上はすべてPDFの防衛設備に当てられます。

1枚1100円で日本からも購入することができます。懸賞品は絵画などの芸術作品です。現時点で360万ドル集まっています。これが達成できればPDFは国軍と戦えられる状態になると思われます。

「NUGは救世主ではなく独裁者に歯向かう人の集まり」とNUGの地下財源管理大臣が言いました。NUGのメンバーには政治家は少数派でNGOの職員や学者が多いです。国内と海外在住の一般のミャンマー国民の協力で運営されています。

最近話題のアフガニスタンでのタリバンの勝利をみると、国の問題はその国の国民自身がリスクをとって犠牲を払って解決しなければならないと再認識しました。

(続く)

テウインアウン
日本在住17年目のWebエンジニア
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