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【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉がミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

<第44回>鉄建建設ヤンゴン事務所 所長 山本青史氏


今回のテーマ ラーショー、厳しい状況下で総合病院を完成させた日本のゼネコン

山本青史 氏[Yamamoto Seiji]

鉄建建設ヤンゴン事務所 所長
1957年生まれ、大阪市阿倍野区出身。近畿大学理工学部卒業後、1980年に鉄建建設入社。横浜支店に配属され、横浜横須賀道路トンネルや横浜市地下鉄建設などの工事に従事する。1996年、名古屋支店に異動。名古屋市地下鉄駅建設工事などに携わる。シンガポ-ル地下鉄北東線軌道、台湾・台北市地下鉄建設、松山空港地下道建設、アルジェリア東西高速道路建設など多くの海外プロジェクトに関わり、2015年1月より現職。

我々の最大のミッションは、日本からミャンマーへの技術移転

180万人をカバーするシャン州立ラーショー総合病院

永杉 本日はお忙しい中お時間をいただきありがとうございます。早速ですが、シャン州最大の総合病院である、州立ラーショー総合病院を日本のゼネコンである鉄建建設株式会社が建設しました。日本の政府開発援助(ODA)により、2016年12月6日に第1期工事が竣工したとの事ですが、建設にあたっての苦労話などをお聞かせいただければと存じます。まず、ラーショーというのは、どのような地域なのでしょうか。

山本 ラーショー市は、少数民族が多く居住するシャン州北部の最大都市です。また、付近一帯には火山帯があるため、温泉の出るところが点在しています。  しかし「最大都市」といっても町の規模は小さく、私が初めて行った時に感じたことは、子どもの頃の日本の町です。古ぼけた感じや、細い路地に鮮魚店があって、精肉店があって、青果店がある風景。それは人情味あふれた日本の田舎のイメージそのものなのです。

永杉 古き良き昔の日本のイメージですか。お話を伺っているだけで、私にも昔の記憶がよみがえる感じがします。そのような町で、今回のプロジェクトはどのような経緯で計画されたのでしょうか。

山本 申し上げた通り田舎町なので、この地域の総合病院はラーショー総合病院しかありません。病院は病床数300床を有し、年間手術数2,000件以上、年間外来患者数は2万9,000人に達します。所管面積は全国で3番目に広く、その診療圏人口は180万人にもなります。

老朽化した施設を刷新する日本政府の無償資金協力

永杉 180万人といったら、日本の熊本県と同じくらいの人口です。その規模の地域で総合病院がひとつしかないというのは、とても不便で大きな問題ですね。

山本 はい、ご指摘の通りです。施設は1940年代から累次整備されてきたのもので、老朽化が激しく、点在する各棟をつなぐ屋根付き廊下もなく、不衛生な状態でした。医療機材の質と数も不十分です。配属されている医師数は18人、看護師は65人に上りますが、可能な治療は限られており、対応できない患者は、自動車で6時間も離れたマンダレー市の国立病院に転送せざるを得ない状況だったのです。そのような状況を改善しようと、日本のODAによる無償資金協力が決定し、2014年5月、国際協力機構(JICA)とミャンマー政府とのあいだで贈与契約が締結されたのです。

永杉 そして、その工事を日本のゼネコンの鉄建建設が受注したわけですね。

山本 はい、工事は2回にわけて計画されているのですが、第1期工事を当社が受注しました。2015年4月にミャンマー保健省医療サービス局のミン・ハン局長が東京の本社を訪れ、調印式を行い、同年6月に着工しました。

未開発の地で日本仕様の建物を建設する苦労

永杉 建設にあたってヤンゴン事務所はどのような役割を担ったのでしょうか。ヤンゴンから遠く離れた地では、管理や運営がとても大変だったのではないでしょうか。

山本 約1年の工期で建物を完成させるというのが最大の任務でした。ヤンゴン事務所としては、現場の運営を円滑に進めるために関係機関との調整や、サブコン(ゼネコンの下請けなどとして、土木・建築工事の一部を請負う建設業者)との折衝をしたり、物資を調達したりしていました。正直に申し上げ、ラーショーには何もないので、調達もすべてヤンゴンで行い、現地に送っていたのです。また、エンジニアなどの雇用契約もヤンゴンで契約を結び、現地に赴任してもらいました。

永杉 そのような厳しい状況下で現場を支えるにあたり、どのようなご苦労がありましたか。また、絶対的な約束事として、なんとしても工期を守ることが日本のゼネコンの特徴です。さまざまな制約がある中で、物理的な問題はありませんでしたか。

山本 ひとつはサブコンの経験値です。たまたま私の知人であるミャンマー人が勤めていた会社にサブコンとして協力していただくようお願いしました。
 しかし、彼らでさえラーショーで仕事をしたことがなく、状況を把握できていませんでした。ヤンゴンとマンダレーで雇用したエンジニアを何人か連れて行ったり、サブコンもマンダレーの業者を使ったりしましたが、ラーショーで働くこと自体に、ミャンマー人が違和感を持っていたのです。

永杉 それはなぜでしょうか。私は日本の中でも地方、特に田舎が好きです。町の人々は温かく、とても人情味があるからです。

山本 やはり仕事で赴任するとなると、駐在員は精神的な負担を感じるようです。よく知らない町で、非常に田舎だということは皆わかっているわけです。しかし、エンジニア2名と通訳1名を現地に送り込んだのですが、2名はラーショーで働くのが嫌で、第2期工事には残らないと言い出す始末。ミャンマー人でさえ3分の1しか残らないのです。


<鉄建建設ヤンゴン事務所で>

永杉 一度限りの貴重な人生なのに、なんだかもったいないですね。せっかく良い経験が積めると思うのですが。しかし、それほど苦労されると、完成した時の喜びは、ひとしおだったのではないでしょうか。

山本 建物も内装も完全に日本仕様で、耐震補強が施された立派な病院が完成しました。あの過酷な環境下で建てられたことは感慨深いものがありますし、ミャンマーの医療に少しでも貢献できたことは、大きな喜びです。

鉄道分野への参入で技術移転を

永杉 ミャンマーでの今後のビジネスについてお聞きします。具体的にはどのように展開されていく予定でしょうか。

山本 基本的には土木も建設もODA案件が中心で、最低でも年に1件の受注を目指しています。ただ私個人としては、それだけでなく、地元の企業とタイアップして、鉄道に特化したメンテナンス事業に参入したいと考えています。

永杉 その狙いはなんでしょうか。やはり、日本の鉄道建設ではトップクラスの実績を持つ鉄建建設だからでしょうか。

山本 当社は日本で鉄道関連事業を得意とし、売上高の半分近くを占めるほどです。そしてその経験とノウハウは、ミャンマーでも活かせるはずです。ミャンマー国鉄は現在、工事を直営で行っています。将来的には民間に工事を発注していくというのですが、現時点ではミャンマー国鉄から受注したゼネコンは存在しません。ヤンゴンやマンダレーには、我々とパートナーシップを組みたいというミャンマーのゼネコンが何社かありますが、彼らは、鉄道工事が民間に発注された時のパイオニアになりたがっているのです。

永杉 ミャンマー国鉄は、1877年に最初の路線が建設されるなど古い歴史があります。しかし鉄道は各地で老朽化が進んでいるので、これから大いに期待できるセクターですね。

山本 はい。しかし、新しく線路を敷設するだけでは、一時のビジネスで終わってしまいます。ところがバラスト軌道(路盤の上の道床に砕石や砂利などのバラストを敷き、バラストの上部に枕木を並べてその上にレールを敷設する構造の道床)であれば、列車が走り続ける限り、永続的にメンテナンスをする必要が生じます。新しく敷設する工事を請け負っていくよりも、メンテナンスに注目する事で、国の成長とともに将来性や安定的な収入を見込めるのです。
 私は、参入を希望している地元の企業に対し、鉄道部門を社内に立ち上げるよう助言しています。受注時には、私たちが実践的教育を施すのです。

永杉 つまり、ミャンマーで教育を通して、技術移転をしていくつもりだということですね。

山本 日本のODAの基本は技術移転です。そして、我々の最大のミッションこそ、その技術移転をミャンマーで実施することだと考えています。

永杉 すばらしいお考えですね。これからもミャンマーのインフラ整備に貢献されることを期待するとともに、事業のご発展をお祈りいたします。

永杉 豊[NAGASUGI YUTAKA]

MYANMAR JAPON CO., LTD. CEO
MYANMAR JAPON および英語・緬語情報誌MYANMAR JAPON +plus 発行人。日緬ビジネスに精通する経済ジャーナリストとして、ミャンマー政府の主要閣僚や来緬した日本の政府要人などと誌面で対談している。独自取材による多彩な情報を多視点で俯瞰、ミャンマーのビジネス支援や投資アドバイスも務める。ヤンゴン和僑会代表、一般社団法人日本ミャンマー友好協会副会長、公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会特別委員。

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