【特集1】前例なし!ゼロからの経済特区 ティラワSEZの挑戦

お問い合わせ・ご相談はお気軽にどうぞ
ミャンマーから 09-3101-9178
日本から 001-010-95-9-3101-9178

【特集1】前例なし!ゼロからの経済特区 ティラワSEZの挑戦

 ティラワSEZの敷地を囲む道路のすぐわきに、草をはむ牛の群れがみえる。円借款で開発を進める隣接の港湾施設予定地は、一面草原が広がるばかり。それもそのはず、このティラワは2~3年前まで「何ひとつない原っぱだった」(開発会社幹部)からだ。
 2012年に日緬が共同開発に合意すると、ティラワの風景は一変した。敷地内の道路や水路が整備され、いまも大型の建設機械が轟音をあげ、建設労働者が作業を進める。電気や水道が通り、工場の一部はすでに操業を始めた。日本政府は多額の円借款を投入して周辺の発電所や交通網の整備を急いでいる。
 「何もなかった」のはハード面だけではない。経済特区はミャンマーにとって初めての経験。規制緩和を標榜しても十分な法律や細則がなかった。日本の専門家らの支援で、SEZ法や運用のフローなどを矢継ぎ早に整備。ビジネスの実務に合うような形で整備を進めている。ミャンマー政府はティラワを、ダウェーやチャウピューなど他のSEZのモデルとしたい考えだ。


 ティラワSEZの2400ヘクタールのうち、9月23日にオープンしたのは、開発が進められているゾーンAの第一期開発エリア。第二期は来年半ばに工事完了の予定だ。その次には、ゾーンBの開発が待っているが、具体的検討はこれからだ。
 いままでのところ、滑り出しは好調だ。工業団地には、すでに日本企業24社を含む13カ国の47社が予約契約済みで、ゾーンAの7割が埋まった。今年度中にさらに10社程度が増えるとみられ、開発に関わる住友商事の中村邦晴社長も「予想をはるかに上回るスピードで、驚異的だ」と驚く。
 一方で、誕生したばかりの工場団地のインフラ整備は道半ば。大胆な規制緩和も、今後の運用実態を見てみないことには未知数な部分もある。また、「ミャンマー国内では投資条件はピカイチ」とされるティラワも、今後アジア各国の工業団地との競争が待ち受けている。「ティラワは日本の経済協力の象徴。絶対に成功させなくてはならない」(日本政府関係者)という強い期待のなかで、ティラワの試練は続く。


ティラワの論点

ポイント1 インフラ整備は進んでいるか


 ティラワでは、工業団地内のインフラをMJTDが整備し、周辺を日本政府の円借款でミャンマー政府が進めるという基本的な構図となっている。
 最大の焦点は電力だ。来年前半に円借款による50メガワットの発電所が完成予定だが、それまでは国家電力網からの送電に頼る。ミャンマー政府は日本側に「優先して電力を回す」という意向を示しているが、ヤンゴンでも停電が頻発する中、どの程度優先できるのかはわからない。「すでに大きな停電が2回あった」との入居企業の声もあり、多くの入居企業が自前で予備の発電機を用意している。
 円借款による発電所が立ち上がれば、状況は大幅に改善するとみられる。万一、発電所で使う天然ガスが不足した場合も、ディーゼルで発電できるようになっている。ただ、将来的にゾーンBなど開発面積が広がれば、新たな発電所建設などの対策が必要になってくる。
 物流面では、ティラワ向けコンテナが到着するヤンゴン港までの道路は渋滞が多く、舗装も良いとは言えないが、JICAの円借款で道路を拡幅・舗装する。JICAはティラワ港も整備する計画だ。また、上組と住友商事が物流センターを特区内に建設中だ。

 一方でヤンゴン港では、米国の制裁でドル送金に支障をきたすケースも出ており、注意が必要だ。
労働力では、フジワークが職業訓練センターを設立して、フォークリフトなどの技術を教える。このほか、特区内には労働者用の宿舎や商業施設などが集まるエリアもある。銀行も特区内に拠点を設ける。

ポイント2 規制緩和は十分か

 SEZ法では、特区内では広範な規制緩和が行われ、「ほとんどすべての業種が営業できる」(ミャンマー当局関係者)ことになっている。ラベル貼りや組み立てなど軽度な加工を行うことなどの条件つきで輸入販売が認められるほか、保険業など通常は外国企業に認められない事業も営業可能だ。 日本の損保大手3社は、SEZ法で認められた保険業務を行うために進出。ティラワ進出企業などに対し、火災保険や海上保険などの保険業務が可能になった。日本の損保と直接取引ができることになり、「コスト削減や手続き簡略化など顧客にもメリットがある」(三井住友海上火災保険)という。このほか、クボタは輸入販売での規制緩和を受け、ティラワに農業機械の販売会社を設立している。


 これまでのところ、評判が良いのがワンストップサービスセンターだ。通関手続きや会社登録などに加え、ビザの発給なども行うことができる。ミャンマー投資委員会(MIC)では半年ほどがかかることもある会社設立で2~3週間、ビザ発給では3時間という例もあり、「ASEANで最も優れたワンストップサービス」との声も聞かれる。 免税など各種優遇措置もある。輸出型企業では建設資材や原材料の関税が免除され、その他の業種でも建設資材は5年間関税がかからない。法人税や商業税の免税制度もある。 ただミャンマーでは、法律とその運用に差があることもしばしば。法律で認められているはずの業種でも、スムーズに許可がでるとは限らない。進出企業は、今後の当局の動向を注視する必要がありそうだ。

ティラワに未来をかける日本企業

「市場10倍」見越し現地生産 エースコック【国内市場】


 「スーパーで特売したら、予想以上の売れ行きだった」とエースコック・ミャンマー平野彰社長は笑顔を見せる。同社がミャンマーで発売した「HANA シャンカウスエ」のことだ。ミャンマーの即席めん市場に足場を築きつつある同社が次に目指すのは、現在ベトナムの同社工場から輸入している商品の現地生産化だ。 2017年の生産開始予定の工場は、フル生産すれば年間4億5000万食を生産できる。この量は現在のミャンマー全体の消費量に匹敵する。同社はミャンマーの即席めん市場が飛躍的に伸びると予想。ベトナムなどの例を考えると「消費量は現在の10倍になってもおかしくない」(平野社長)という。それだけの需要をみこして2000万ドルを投資する。
 目下の課題は、現地生産による価格の引き下げだ。人気のHANAシリーズは、一袋600Ks程度で販売されている。200Ks程度で売られる商品もあることを考えると、品質重視とはいえ、さらなる顧客層の拡大には価格引き下げが必要だ。
 しかし現地生産しても、コストカットはそう簡単ではない。小麦粉や食料油、パッケージなどの現地調達が難しく、ほとんどを輸入に頼るからだ。ただ、同社が1990年代にベトナムに進出した際も「だいたい似たような状況だった」という。ベトナムで成功をおさめたノウハウを生かし、地道にミャンマーの調達先を育成する長期的戦略だ。

ティラワには多様な日本企業が進出

ワコール 女性用下着を生産。2020年にはブラジャー200万枚が目標
フジワーク 特区内で働く労働者の職業訓練
クボタ トラクターや耕運機など農業機械の輸入販売と組み立て
王子ホールディングス 段ボールなど生産し、総合的な包装サービスを提供
上組・住友商事 物流センターを開設して、製品や原材料などを輸送
岩谷産業 特区や周辺地域へ工業用ガスなどを供給
フォスター電機 自動車用スピーカーを生産
(計24社)

 

世界に通用する物づくり 江洋ラヂエーター【海外輸出】


 9月にいち早くテスト操業を始めたのが、自動車のラジエーターを生産する江洋ラヂエーター(名古屋市)だ。同社の生産するラジエーターは、新車ではなく交換用がメイン。世界中を走る多くの種類の自動車のラジエーターの交換需要を賄うため、多品種で少数の生産となる。そのため、機械化することが難しく、労働者を動員した手作業が必要だ。しかし、インドネシアや中国の生産拠点では、現地の人件費が高騰。そこで、人件費の安いミャンマーを次の拠点に選んだ。 ティラワで生産したラジエーターの全量を海外輸出する。はじめは20種類ほどで始め、その後増やす計画だ。 先行して進出しただけに、トップランナーの苦労も味わった。今でこそ評判の良いワンストップサービスだが、「我々が申請した時には、手続きの仕方が決まっておらず、当局や日本人アドバイザーと協議して手続きの流れを作った」(同社の江尻和泉会長)という。


 また、労働者を募集した際には、ティラワが職場として十分知られておらず、人集めに手間取った。周辺の食堂にチラシを貼って目標数を集めたという。同社は採用したミャンマー人社員を、同社の海外工場に送り技術を学ばせている。ある女性技術者(23)は、インドネシアで研修の経験を積み、現在はラインの労働者をまとめる立場。「進んだ技術を覚えることができるのがうれしい」と胸を膨らませていた。

梁井崇史 MJTD社長兼CEOに聞く


ヤンゴンの存在が利点

 第一期地区が開業し、第二期地区は来年夏にオープンとなる見通しです。今までのところ、工事は順調に進んでいます。すでに47社の申し込みがありました。ハード面のインフラでは、日本政府の円借款によって整備が進みつつあり、たとえば発電所は来年前半に完成する見通しです。ソフト面のインフラでも、日本政府の支援を受けたミャンマー政府が規制緩和を進めています。今までのところ、ワンストップサービスは本当の意味で機能していると言えます。
 特にインフラとして大きいのは大都市ヤンゴンの存在です。外国企業が進出する場合、住居や病院、学校などがそろっているヤンゴンから1時間というのは、大きな利点です。また、中小企業向けに、レンタル工場を建設する予定です。1ユニット1500平方メートルに細かくわけることで、小規模な工場でも使いやすくします。

地域とともに発展を

 ティラワSEZは地元とともに発展してゆくことを目指しています。地元の小学生に文房具を配布したり、学生に奨学金を支給したりしています。お寺に集会所を寄進もしています。洪水の被災者支援のため、1万ドルを支出しました。
 将来的にはゾーンAだけでも、3~5万人の雇用が生まれると考えています。そうすると、周辺には、労働者の通勤の車や食堂など様々な需要が生まれ、地域が潤うはずです。すでに周辺には料理屋ができ始めています。これから企業が人を雇う段階に入りますから、間もなくその影響を実感してくれると思います。

地元の期待大きく


 ティラワの建設が進むにつれ、建設労働者や工場労働者が利用する飲食店が立ち並ぶ通りも出現した。発展への地元の期待は大きい。ある工場の女性労働者は「あと数年でこのあたりは大きく変わると思う。農村部にも職場ができるのはうれしい」と話していた。

ミャンマー/ヤンゴンの「進出支援/各種コンサルティング」「広告宣伝/販促活動」「賃貸マンション、賃貸アパート、賃貸店舗、賃貸事務所...」「求人/人材紹介」は、ミャンマージャポンにお任せください!

 

TOPページビジネスニュース進出支援不動産/賃貸情報人材紹介求人/就職情報レストラン厳選お役立ち情報

 

MYANMAR JAPON(ミャンマージャポン):ミャンマー連邦共和国 情報省認可 第00510号
ミャンマー現地紙記事掲載許諾:The Mirror / Myanma Alinn Daily (The New Light of Myanmar)/ The VOICE Daily/ The VOICE Weekly/
7DAY DAILY/ 7DAY WEEKLY / THE YANGON TIMES DAILY/ THE YANGON TIMES WEEKLY