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【特集】[創刊2周年特別企画]ミャンマー版ヒット商品番付

規制緩和で商品入流

 民政移管後、それまではごく一部のエリート層しか手にすることができなかった商品が、次々と規制緩和されることにより庶民でも手が届くようになった。その代表格が自動車だ。2011年に輸入規制が緩和されると、日本からの中古車が怒涛のように流入した。2014年の日本の中古車輸出先はミャンマーがロシアを抜きトップ。前年比約2割増の約16万台を輸出した。その中で圧倒的な人気を誇るのがトヨタ車だ。ヤンゴンの自動車 ディーラーは「軍政時代からトヨタ車は細々と輸入され、高額で販売されていた。その時からの強いブランドイメージがある」と解説する。

 もうひとつ、一気に普及した商品が携帯電話のSIMカードだ。2011年には闇市場で2000ドル(25万円)だったSIMカードは、1500Ks(約170円)まで値下がりした。2014年の外資参入と、国営ミャンマー郵電(MPT)がKDDI、住友商事と手を組んだことなどで大量に供給された結果だ。各社の決算資料などによると、MPTは昨年7月のKDDI・住商連合の経営参画後、今年3月までに800万枚を超えるSIMカードを販売。新規参入組のノルウェー・テレノールは約640枚、カタールのオレドーも約330万枚を3月までに売った。

情報収集はフェイスブックで

多くの人が初めての携帯電話としてスマートフォンを手にしたが、一番人気はサムソンのギャラクシーだ。低価格でシェアトップの中国ファーウェイと比べて抜群のブランド力がある。スマホの普及でフェイスブックやバイバーなどのSNSアプリも流行。中でもフェイスブックはなくてはならないツールとして定着した。「若者は多くの新しい情報をフェイスブックで得ている」とADKミャンマーのウィン・ミャ・ティン・オペレーションマネジャーは分析する。

 

フェイスブックを販促で活用して評判なのが、自然派が売りの韓国系化粧品ブランド、ネイチャーリパブリックだ。フェイスブックで同社の問い合わせ窓口に質問を送ると、すぐに返事が来る仕組みだ。

 

化粧品では、日本ではドラッグストアなどで売られている低価格コスメのキャンメイクが、ミャンマーでは高級イメージを作ることに成功。

トーウィンセンターなど高級ショッピングセンターで売られている。ViViミャンマー版などに広告を出し情報感度の高い若者の支持を集めた。

規制緩和で商品入流

ライフスタイルも変化している。小売店で勢力を増しているのはコンビニだ。シティマート系のシティエクスプレスは豊富な品ぞろえと、明るい内装で消費者の心をつかみ、ヤンゴンに46店舗を展開する。

 

 

 

コンビニなどで酒が簡単に手に入るようになったためビールを飲む人も増加傾向。中でも根強い人気を誇るのが国産のミャンマービールだ。契約した飲食店にロゴ入りの看板や灰皿などを提供する手法で売上げを伸ばした。

食文化の変化は「ミャンマー的」だ。ミャンマーでは伝統的に、大事な家畜である牛を食べることを好まない傾向がある。その中で新興ファストフードの主役の座を射止めたのがフライドチキンだ。韓国系ロッテリアでは多くの人が1本1500Ksのフライドチキンをオーダーする。日系フレッシュネスバーガーも4月から導入。米KFCも近くヤンゴン中心部に出店する。

民政移管前は数えるほどしかなかった日本料理店も増え、現在ではヤンゴンに150店ほどあるとみられる。激戦の中で成功しているのは、ミャンマー人をターゲットにした大衆寿司店。物流が次第に改善し新鮮なネタがタイなどから安価に手に入るようになり、少しぜいたくをすればミャンマー人も利用できるようになった。日本帰りの料理人が起業するケースが多く、バハン地区の「ファミリー寿司」では両国の寿司屋で12年修業した板前が腕を振るう。

一方で「冬のソナタ」以降の韓流ブームとともに韓国の食文化も定着。トッポッキやキムチチャーハン、キンパといった韓国料理が浸透した。若者が好むのは韓国料理の屋台だ。

 

 

 

伝統料理が新しく生まれ変わる例もある。ミャンマーでは古くからお茶の葉をいり豆などと混ぜたラペットゥというおつまみがあるが、2014年ごろから増えているのは、ゆでピーナッツやトウモロコシに茶葉を和えたラペッアソン。彩りも豊かなうえ、500Ksと安く手軽に食べられるとあって、あっという間に屋台の定番となった。

Kポップ、コンサートで浸透

飲食店でよく見かけるのが、衛星テレビのスカイネットが放送する英サッカー、プレミアリーグで盛り上がる男たち。ビール片手に一喜一憂する。

 

 

 

政府系のテレビはあまり見る人がいない一方で、多くの人が楽しみにするのは唯一の民間地上波テレビ局のチャンネル7で、歌番組「エインマッソンヤ」やクイズ番組などが受けている。

音楽では女性ポップ歌手のニー・ニー・キン・ゾーが流行している。医師という変わり種の経歴で、豊かな歌唱力で聴衆を魅了。2014年にはスーパーマリオに扮した「マリオ」がベストセラーになった。

 

 

一方で韓国のKポップグループは次々とヤンゴンでコンサートを行い、ファンを獲得。昨年8月に2NE1がミャンマー史上最高額のチケット(2万5千~90万Ks)を売り1万人を動員したほか、今年4月には4Minuteも7千人を集めた。

海外の情報に触れるに従い、「若者たちは個性的な服装をしたがっている」と地元の専門家はみる。街を歩けば、金髪や茶髪、ソフトモヒカンなど奇抜なファッションの若者に出会う。美容院チェーンのT8は、こうしたおしゃれに気を遣う若者の人気を集める。高級イメージで、高級ホテル内などに出店。中国のヘアカタログを使うなど中国の影響が大きい。

一方でミャンマー人はとても勉強好きだ。日本企業の進出で日本語人材の需要が増したことから日本語学校が繁盛。技能実習生として日本で働く道があるうえ、日本留学の志望者も多い。学費の高い経営管理学修士(MBA)も富裕層を中心に人気となっている。

メガヒットなるか!?
売出し中の注目日本商品

ポカリスエット(大塚製薬)

今春に販売開始。ヤンゴンの幹線道路沿いに巨大な看板を設置し、テレビCMも流している。酷暑のミャンマーでは潜在需要は大きいが、スポーツ飲料を理解してもらうことが第一歩か。

LINE

今年3月にミャンマー人向けにサービスを開始した。同種のアプリではバイバーが圧倒的に支持されており、後発組が巻き返せるかが焦点。テレビCMのほか、ロンジーを着たキャラのスタンプで浸透を図る。