【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!|日本語情報誌 ミャンマージャポン

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【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉がミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

<第35回>JICAミャンマー事務所 所長 中澤慶一郎 氏


JICAの今、ミャンマーの活動


国際協力機構(JICA)ミャンマー事務所所長
1964年生まれ。現在のJICAの前身のひとつである海外経済協力基金(OECF)に就職後、インド事務所駐在員などを経験。1998年タイ、ミャンマー向け円借款担当課長代理。2003年国際協力銀行(JBIC)ベトナム、カンボジア、ラオス向け円借款担当課長などを経て、2010年JICA米国事務所長。2014年東南アジア・大洋州部審議役。2015年3月より現職。東南アジア向けの円借款に関わるキャリアが長く、インフラ整備などに詳しい。

日本は新政権を全力でサポート 雇用の創出を目標

永杉 本日はお忙しい中、お時間をいただきましてありがとうございます。ミャンマーは新政権の下、新たな道を歩み始めましたが、日本の支援は具体的にどのように取り組んでいくのでしょうか。

中澤 選挙前から国民民主連盟(NLD)の経済委員会や、農民問題委員会、教育、保健関係などの代表の方々と、日本大使館とともに議論を重ねてきました。その中でNLDの皆さんが何を欲し、どのような政策を進めたいのかがある程度わかってきました。例えば、アウン・サン・スー・チーNLD議長は選挙期間の遊説中に、多方面で仕事がないという話を聞いたようです。我々はまず、国民が誇りをもって仕事ができるような雇用の創出を、目標の一つとしていくべきと考えています。インフラやビジネス環境を改善していくことで、雇用の機会を増やせれば、国民も仕事に就きやすくなるのではないでしょうか。人材育成も重要です。選挙を経て民意を反映してできた新政権により、この国が安定し繁栄していくことは、日本にとっても重要です。日本が新政権を全力でサポートしていくことは間違いありません。

JICA事務所は一度も撤退せず 世界一の無償資金協力

永杉 戦後、日本は長い間、ミャンマーを支援してきましたが、どのような事例があったのでしょうか。

中澤 JICAは1981年、ヤンゴンに事務所を開設以来、一度も閉鎖せずに今に至っています。欧米の国々が1988年の民主化運動弾圧への制裁の過程で事務所を撤退した中でも、人道支援や麻薬撲滅のための代替作物の栽培を支援してきました。ミャンマーに対する昨年度の日本政府の協力は、円借款で約1千億円。無償資金協力は世界で一番多く、約250億円でした。JICAの長期専門家は60人を超え、シニア海外ボランティアも二桁の人数になってきました。もともとミャンマーは日本の友好国として重要な国であり、約30年前の1987年でさえ、ミャンマーは4番目に日本の援助金額の多い国でした。
 今年の3月4日に、バルーチャン第二水力発電所の補修工事が終わり、完工式でカヤー州に行ってきました。この発電所は、1954年に合意された日本の戦後賠償により、1960年に完成した第一号の大型案件です。総出力168メガワットで、現在でもミャンマー全土の総発電電気量の約1割を発電する重要な電源となっています。建設当時はまだトラや象がいる中を、我々の先輩たちは少数民族と交渉しながら発電所を作り、送電線を敷く工事を成し遂げたと聞いています。このことに対し、いまだにミャンマーの方々は感謝してくれている、という印象を受けました。

ヤンゴン都市開発のプランを作成 環状線を中心とした副都心計画

永杉 次にインフラについてですが、環状線やタケタ橋、送電網構築支援、ヤンゴン上水道のリノベーションなど大型の案件が目白押しですが、ヤンゴンにとりどのような意義があるのでしょうか。

中澤 先日、ヤンゴン地域政府の120人の議員に集まっていただき、ヤンゴンの都市開発、交通、上下水道についてのJICAのマスタープランの説明会を行いました。最大都市の都市計画ですから、関心は非常に高かったです。ヤンゴンは、イギリスの植民地時代からヤンゴン港を中心として発展してきたという経緯もあり、ビジネス地区のダウンタウンにいろいろな機能が集中しています。我々のマスタープランでは、機能の一部を郊外に移すことを提案しています。ヤンゴン中央駅を東京駅とすると、新宿や渋谷などの副都心も必要です。山手線とほぼ年代が変わらない環状線を改修し、誰もが使える公共交通網を中心とした街を開発していくプランです。ヤンゴンは南部や西部は土地が低く洪水に弱いので、もともとある湖や緑を残しながら北側、北東側に副都心を作っていきます。将来、人が住みやすい環境に改善していきたいと思っています。

永杉 ヤンゴンに人口が集中する現在、具体的にはどのような課題があるのでしょうか。

中澤 都市が成長していく中でのリノベーションになります。まったく何もないところに首都のネピドーを作ったこととは違います。経済活動を止めず、生活環境に悪影響を与えずに改善していくのはそう簡単なことではありません。しかし、これは日本の高度経済成長期にノウハウを蓄積した日本のお家芸であり、得意とするところです。

インフラ、教育など様々な分野で支援 日本のお家芸でミャンマーをより良く

スー・チー議長の考えとも合致 暗記中心の教育を改革

永杉 教育についてですが、ミャンマーでは体育や美術、音楽などの授業がありません。その中で、初等教育カリキュラムの支援を行っていますが、実施状況はどうなっているのでしょうか。また政権が変わることで影響はあるのでしょうか。

中澤 日本は初等、高等教育に多くの支援を行っています。初等教育では、これまで国語や算数などの主要教科しか教科書がありませんでしたし、先生が黒板に書いたことを丸暗記する暗記中心の教育が基本でした。これを日本や諸外国の過去の教育改革の経験を踏まえ、教育省カウンターパートやJICA専門家、総勢100名以上が協力して全10科目の教科書作りを進めています。あわせて先生方が新しい教科書を使う際の手引きとなる教師用指導書も作っており、それらを近隣のいくつかの小学校の先生や児童に実際に使ってもらい、反応や成果を見ながら改訂しています。

永杉 教育の場面でも、その実績としてJICAの支援が実りつつあるのですね。

中澤 この教科書を、2017年度から使っていただけるものと期待しています。ミャンマーは識字率が9割と高く、初等教育の就学率もそれなりに高いのですが、年次が上がるにつれて退学率が上がります。これを卒業できるところまで持っていきたいというのが新政権の方針です。また、スー・チー議長も暗記教育を問題視しており、社会で生きていくための知識やノウハウを身に付けられるようにするとも言っておりますので、我々と方向性は合致していると思います。

ミャンマーは財布が戻ってくる国 日本にとてもよく似た安心感

永杉 中澤所長個人としてのミャンマー人に対するご感想はいかがでしょうか。

中澤 私は1987年にバックパッカーとして、初めてこの国に来ました。当時は1週間のみのVISA 発給でしたが、ヤンゴン、パガン、マンダレーへ行 くことができました。その時感じたミャンマー人の温かさは今も鮮明に覚えています。ほかのアジアの国々と比べても、心情面で非常に日本に似ているという安心感があります。現代において、財布を落としても戻ってくるような国は、日本とミャンマーぐらいしかないのではないでしょうか。

永杉 私も携帯電話をタクシーで落とした時、運転手がお店を端から探してくれて、私に届けてくれたという経験があります。また、街中で通りすがりの方に道を尋ねれば、ほぼ100%親切に教えて頂けます。確度は50%ほどですが(笑)。しかし、ミャンマー人の本当の善意ですね。

中澤 確かに他人を助けようとする想いは、日本人と共通していますね。また、年上の方を敬い、先生を敬う。いろいろな人やモノ、ことに対する敬意をミャンマーの方は持っています。それは日本人が親から教わった、しつけとも共通しているのではないでしょうか。

永杉 本日は公務ご多忙の折り、貴重なお話を伺いましてありがとうございました。

※アウン・サン・スー・チー氏の役職については、本インタビューが行われた3月11日時点の役職のままとしております。


MYANMAR JAPON CO., LTD. CEO
MYANMAR JAPON および英語・緬語情報誌MYANMAR JAPON +plus 発行人。日緬ビジネスに精通する経済ジャーナリストとして、ミャンマー政府の主要閣僚や来緬した日本の政府要人などと誌面で対談している。独自取材による多彩な情報を多視点で俯瞰、ミャンマーのビジネス支援や投資アドバイスも務める。ヤンゴン和僑会代表、一般社団法人日本ミャンマー友好協会副会長、公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会特別委員。

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