【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!|日本語情報誌 ミャンマージャポン

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【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉がミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

<第27回>大阪産業大学ACRC名誉センター長 桐生 稔 氏


今回のテーマ:ミャンマー発展の過去と未来


大阪産業大学ACRC 名誉センター長
1941年生まれ。立教大学社会科学部を卒業後にアジア経済研究所入所。ミャンマー研究を続け、同研究所の経済開発分析部長を務めたのち、1991年に中部大学教授に転身。大阪産業大学などでも教鞭をとった。在ビルマ日本大使館の調査員や、ミャンマー政府の経済顧問などを歴任し、世界銀行にも出向。現場を重視する研究を続ける。日本工営や京進グループなどミャンマー関連企業のアドバイザーを務めている。

内戦のさなかにヤンゴン入り ダッカでミャンマーを研究する

永杉 本日は貴重な機会をいただきまして、誠に光栄です。先生は、半世紀近くミャンマーに関わっていらっしゃるとのことですが、初めてミャンマーを訪問したのはいつですか。

桐生 1964年にアジア経済研究所(アジ研)に就職して、初めてミャンマーに入ったのは1966年でした。当時は、まだストランドホテルが古い建物で、外国人はここかインヤーレイクホテルにしか泊まれなかったのです。ストランドに泊まったのですが、川岸に建っていますよね。そのころは、少数民族武装勢力やビルマ共産党との和平交渉が決裂し、激しい内戦の時代でした。川向こうでは政府軍と反乱軍との戦闘があり、夜には砲声がしました。ヤンゴンに来る前に戦争中のベトナムに寄ってきていたのですが、ミャンマーも同じような様子でした。外国軍が介入しているか、いないかの違いだけでした。
 ヤンゴン経済大学に留学を申請したのですが、社会主義時代でしたから認められず、バングラデシュ(当時は東パキスタン)のダッカ大学へ留学しました。そこから、プロペラ機でミャンマーを訪れるなどしてミャンマーを見ていました。

ビルマ式社会主義も研究テーマ 歴史から思想を読み解く

永杉 そうですか、大変な時代だったのですね。具体的にはどのような研究をされたのでしょうか。

桐生 産業経済学が専門なのですが、アジ研では主に農村開発を研究していました。テーマのひとつは、なぜビルマ式社会主義がビルマ人にとって不可避だったのかということ。この考え方は、実はマルクスとは全く関係がなく、アウン・サン将軍ら独立の指導者の思想だったのです。
 1948年の独立当時、資本の8割は非ミャンマー人が所有していました。石油、銀行、鉄道など大資本は英国人、商業資本は華僑が抑え、インド人は地主や金貸しに従事していたのです。だから、政治的には独立はしても、経済はすべて外国人が抑えているのではないかとミャンマー人は考えたのです。資本家イコール外国人ですから、「反外国、反資本、ビルマの伝統的価値観の復活」の3つのコンセプトの集大成がビルマ式社会主義なのです。
 アジ研にいたときは、ミャンマーを専門に研究していました。新聞の「大臣がどこに行った」などと書いてある記事の行間から、何が起こっているかを読み取るような仕事でした。1979~82年の間にヤンゴンの日本大使館の調査員をしていましたので、その間に全国を回りました。経済の本音と建前の実態をなんとか解明しようとして、自腹を切って農村を訪れました。

永杉 当時の一般市民の暮らしというのはどうだったのですか。

桐生 金持ちがおらず、等しく貧しかったと思います。軍人は別ですが、大臣でも首を切られたらタクシー運転手になることもあったのです。実際にそういう人にも出会いました。

ASEANに近づくミャンマー

 ミャンマーが近年、東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携を強めている。ミャンマーは1967年発足の際には非同盟中立の立場から参加せず、その後加盟は1997年まで実現しなかった。2011年の民政移管後、国際舞台に変化をアピールしたいミャンマーは2014年に悲願であった議長国を務め、首都ネピドーで首脳会談を開催した。
 東南アジアの市場統合を目指すASEAN自由貿易地域(AFTA)には今年中に加わることとなっており、域内からの輸入の関税引き下げが必要になる。東西経済回廊などのASEANとミャンマーを繋ぐ幹線道路も整備が進み、人的交流ではタイとの相互のビザ免除も決まった。一体化が進むASEANにミャンマー経済も巻き込まれていくことになる。

 

ASEAN市場統合見据え 優位性ある産業の育成を

永杉 民政移管以降のミャンマーをどう感じていらっしゃいますか。

桐生 正直、変化の速さについていけないところがありますね。以前はヤンゴンには渋滞などなく、市内はどこまで行っても30分以内で着きました。
 まず、人、物、金の流れが変わりました。とにかく、ヤンゴンとマンダレーという都市部に富が集中している。投機を含めたバブルがあるように思いますね。また、人が変わりました。以前はゆっくりと歩いていた人が、今は目をギラギラさせて走り回っているように感じます。タナカやロンジーもだいぶ少なくなりました。
 農村もずいぶん違うな、と感じています。中国の影響力が凄いのです。特に、マンダレーを中心とした上ビルマでは、中国人が農地をたくさん買っているし、大規模なプランテーションのような場所もあります。梅の栽培や、漢方薬の栽培も行われていますね。ただ、委託栽培で肥料や農薬を大量に使うので問題になっています。いったん始めると、農薬などが基準値を下回るまで7年間は土地を休ませなくてはならなくなるそうですね。

アジアの発展の教訓生かせ 一極集中避け地方都市へ投資を

永杉 急速な変化で、さまざまな矛盾も出てきていると思います。ところで、今年中には、ASEANの市場統合が実現しますが、ミャンマーへの影響はどうお考えですか。

桐生 そうですね、関税を撤廃しなければならなくなりますから、改めてミャンマーが比較優位を持つ産業は何かと考えることが必要になると思います。今さら自動車や精密機械を作ったところで、タイやマレーシアには勝てません。優位性があるのは農業、水産業、畜産業ですね。農民主導で付加価値がある産業にすることが必要だと思います。例えば、ドライフルーツに加工するとか、缶詰にするとか、いろいろあると思います。また資源が豊富だからといって、資源依存の輸出や開発を改めるべきでしょう。

ミャンマーの地形を生かし地方の発展を目指せ

永杉 今後のミャンマー経済についてはどのようにお考えですか。

桐生 ミャンマーは経済発展の要素を備えています。それをどう使うかはミャンマー人が考えないといけないことです。重要なことは、ASEAN諸国の経済発展の軌道を学ぶことです。急速な工業化や一極集中にはゆがみが出てきます。所得格差も広がり、所得が偏在します。都市が肥大化し、環境問題や交通渋滞が起きます。こうした問題をしっかりと学んだうえで、ミャンマーにとって何が必要か取捨選択してほしいと思います。
 モデルはやはりタイでしょうね。1962年に社会主義体制になるまでは、人口や経済規模、国民所得もほぼ同じでした。ミャンマーが社会主義体制下で停滞する一方で、タイは政府開発援助(ODA)を積極活用して工業化しました。ただ、60年代の工業化でバンコクが肥大化する一方、農村部は疲弊しました。
 ミャンマーでは現在、ティラワ経済特区(SEZ)の開発が進んでいますが、こういうことを続けていくといずれ労働力が足りなくなります。一極集中は避けるべきです。ミャンマーの真ん中にはマンダレーがあり、南部にはダウェー、西部にはシットウェもあります。少数民族の各州の州都や、地方都市の開発に投資を重点配分することも大事です。ミャンマーはそれができる地形なのです。

永杉 非常にわかりやすいお話をありがとうございました。今後もますますのご活躍をお祈りしています。


MYANMAR JAPON CO., LTD. 代表
MYANMAR JAPON および英字情報誌MYANMAR JAPON+plus 発行人。ミャンマービジネスジャーナリストとして、ビジネス・経済分野から文化、芸術まで政府閣僚や官公庁公表資料、独自取材による多彩な情報を多視点で俯瞰、マーケティング・リサーチやビジネスマッチング、ミャンマー法人設立など幅広くミャンマービジネスの進出支援、投資アドバイスを務める。ヤンゴン和僑会代表、一般社団法人日本ミャンマー友好協会副会長、公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会特別委員。

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