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【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉がミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

<第10回>サッカー ミャンマー女子代表 熊田 喜則 監督


今回のテーマ:ミャンマー女子サッカーを一躍国民的英雄に引き上げた、影の立役者


サッカー ミャンマー女子代表チーム監督
福島県東白川郡出身。選手育成の名門「三菱養和.SC」出身。その後、全日空横浜サッカークラブへ移籍。選手引退後は、桐蔭学園高校やJFL の福島.FC、そして大阪学院大学、韓国・大慶大学等の指導に携わった。1992年サンパウロ.FC に留学し、C.B.F ブラジルサッカー協会公認プロライセンス取得。2004年JFA公認S 級コーチ資格を取得。11年8月ミャンマー女子代表監督に就任後、2012AFFWomen's Championship in Vietnam、2012U-19AFC Women's Asian Cup(U-19FIFAWomen's Asia 最終予選)等の成績を評価され、12年AFF 女子最優秀監督賞を受賞。翌13年SEA Games(東南アジア競技大会)において銅メダルを獲得。ミャンマー女子サッカー発展に大きな力を注ぐ。

サッカー代表としての義務と権利を教え込む

永杉 本日はお忙しい中、お時間を頂戴しましてありがとうございます。早速ですが、ミャンマーに着任された経緯や、今の代表チームに至るまでのエピソードをお聞かせください。

熊田 日本サッカー協会のアジア貢献事業に興味を持ち、日本サッカー協会の推薦で、2011年の8月末ミャンマーへ来ました。
 私は招集した選手への初回のミーティングで「代表選手としての価値と生き方」を説きました。「代表選手としてどの様な存在にならなければならないのか、そして誰もが憧れる選手として何をすべきか?」を説明しました。選手個々の生活を向上させるためには勝つことが義務付けられることも話しました。この考えは、今でも女子代表の「心得」としています。
 指導の最初の壁は、環境や文化の違い、そして言葉の壁でした。最初の私の仕事は、英語のフットボール用語をビルマ語のサッカー用語に換えることでした。例えば「オフサイド」「パス」等の違いです。
 ミャンマー人の文化・習慣の違いは、自分で限界を決めてしまうことです。練習中にも靴が合わないのか、疲れてしまっているのか自分でスパイクを脱ぎ座り込んでしまう。私は、「ライオンに追いかけられているウサギが、足を怪我したと言って止まりますか」と選手によく伝えます。自分がプレイを放棄し、レフリーに制止されることがASEAN では、よく見受けられます。 ワールド・スタンダードでフットボールを考えると、習慣も文化も考える必要はなく、世界基準で考え、落とし込んでいかなければなりません。文化や環境を越えたことを選手には要求しています。

ミャンマー人の指導に共通する掌握法とは

永杉 監督の指導力もありますが、なぜミャンマー女子代表がこの2年と数カ月で、ここまでの高いレベルに達したのでしょうか。
 また昨年はASEAN サッカー女子最優秀監督賞の受賞や、12月のSEAGames でミャンマー女子代表は3位入賞と大活躍されました。今はどんな手応えや思いがありますか。

熊田 精神論ではなく、世界基準で物事を考えていくことです。彼女たちが元々高いポテンシャルを持っていることに気付きました。
 一番に考えたのは、彼女たちの運動能力をどの様に引き出すかでした。ミャンマーの学校授業には体育がないので、能力が眠ってしまっています。私は週の始めの練習でフィジカルトレーニングを入れ、特に有酸素能力を高めるために、800mインターバル走を繰り返し行いました。フットボールのフィジカルトレーニングでは、基本的な練習です。そこで走るためのグループ分けをするため、選手1人1人の有酸素能力を計りました。
 今では月に1回、1,000mの記録を2回計って選手のMax の変化を分析しています。最初は手を抜く選手が多く、記録として使えませんでした。しかし、現在では、選手個々が自己記録を更新するためにコンディショニングを調整してくるように意識も高まりました。 最初は、力を出し切らないので、出し切らせるために彼女たちへ「自己記録更新」することで、賞金を出すことを考えました。そうする事で選手個々の記録も徐々に集められるようになりました。
 今回のSEA Games は正直に言って" 勝てる" と思いました。優勝できると思っていました。何故ならば、私が就任して一番のチーム状態だったと思っていたからです。しかし、勝負には"運"も必要だということをこの試合で気付かせられました。

12月のSEA Games(東南アジア競技大会)でサッカーミャンマー女子代表3位入賞、銅メダルを獲得。監督は今年5月の2014AFC Women's Asian Cup(2015FIFA Women's World Cup Asia Final Round)アジア最終予選に勝負をかける

 

ミャンマー女子フットボールの1ページに名前を残した日本人監督――

表面的に盗んでも駄目
サッカー哲学の自信と確信

永杉 なるほど、指導にはやはりアメとムチが大事ですね。
 今回、いわゆる" 熊田流サッカー"がアジアの注目を集めたことで、「どうしたら短期間で優秀な成績を残せるか」という指導法を他国の監督に盗まれることはないのでしょうか。

熊田 私たち指導者は、人の指導を盗むということは絶対にしません。そこには、隠された指導者の哲学があるからです。また、短期間に強くするということもできません。私たち指導者には、練習で上手くするレシピや強くするレシピは存在しないとされています。
 1つの国のフットボールを強くするということは、そこには隠されたレシピや時間が必要な事で、どこまで煮込めば味が出るか、そこには作っている職人でないとわからない隠された味があるからです。だから私は、他の指導者のマネはしないし練習方法を盗みません。また、私の練習をマネしようとする指導者がいれば、「同じことをやってください」と言っています。
 例えば、日本フットボールはなぜ発展しなかったのか。昔、ビルマ、そして韓国に日本は勝てませんでした。それは、日本フットボールがドイツ・ブラジル・イギリスのモノマネだったからです。私たちは、ハンス・オフトやイヴィチャ・オシムの言葉で「日本人に合ったオリジナルをするべきだ」と言われ、今のフットボールに行き着いたわけで、簡単な作業ではありませんでした。
 企業でも同じで、韓国のサムソンやLG がなぜ強いか。1つに日本のソニーやシャープの技術を自分たちのオリジナルにしました。一方、中国は真似(コピー)で終わってしまっているように思います。

一番は自分の集大成としてミャンマー女子代表を世界へ

永杉 指導の確固たるこだわりやぶれない軸、サッカーへの気合いが伝わりました。最後に、ご自身の今後や今年の女子代表に向けた抱負をお願いします。

熊田 正直な話、選手たちは恵まれ過ぎてしまい、今は戦術を教えるより気持ちをハングリーな状態にさせることが難しい状態です。動物で言うならば" 餌を食べて満腹状態" です。だから次のステップに到達しないんです。ビジネスに通じる部分があるかもしれません。
 今は、時間の掛け時が来るのを待つタイミングで、選手が時期的に焦ってくる3~4月頃に戦術を落とし込むことを考えています。現段階で何をしなければならないか、選手に気付かせることです。
 私の契約は基本単年のため、この1年が勝負です。逆に私は複数年契約をすると自分が楽をしてしまい、よい結果を出せないのが今までした。気持ちが楽をしちゃうんです。この世界は、ハングリー精神が大事です。私は、自分の存在感を確かめるためにミャンマーへ来ているので、指導の集大成として女子代表を世界の舞台に立たせることが目標です。

永杉 心理学の要素も含まれていますね。確かにビジネスにも通じる話で勉強になりました。
 5月の女子ワールドカップアジア最終予選に向けて、今後ますますお忙しくなると思いますが、ミャンマー女子フットボールの発展のため、ミャンマーのスポーツ界の活性化につながるさらなるご活躍を心から祈念しております。

ドリームトレインでサッカー指導

NPO法人ジャパンハート・吉岡医師の依頼で、同法人が運営するヤンゴンの孤児院施設「ドリームトレイン」を土日の空き時間に訪問し、子どもたちにサッカー指導をボランティアで継続している。SEA Games 後に訪れた際には「『おめでとう』と書いた手作りのクッションのプレゼントがうれしくて、これだけは必ず日本に持って帰りたい」と熊田監督。

 


MYANMAR JAPON CO., LTD. 代表
MYANMAR JAPON および英字情報誌MYANMAR JAPON+ plus 発行人。ミャンマービジネスジャーナリストとして、ビジネス・経済分野から文化、芸術まで政府閣僚や官公庁公表資料、独自取材による多彩な情報を多視点で俯瞰、マーケティング・リサーチやビジネスマッチング、ミャンマー法人設立など幅広くミャンマービジネスの進出支援、投資アドバイスを務める。ヤンゴン和僑会代表、一般社団法人日本ミャンマー友好協会副会長、公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会特別委員。

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