【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!|日本語情報誌 ミャンマージャポン

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【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉がミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

<第9回>JICA ミャンマー事務所 田中 雅彦 所長


今回のテーマ:縁の下の力持ち、JICA ミャンマーの活動とは


JICA ミャンマー事務所 所長
福井県出身。1988年、国際協力事業団(当時)入団。医療協力部、外務省出向(ボリビア日本大使館書記官)、無償資金協力業務部、総務部、青年海外協力隊事務局、政策研究大学院大学教授、理事長室上席秘書官等を経て、2011年9月よりミャンマー事務所長。

 

ミャンマー行政を強力支援 民主化後の大転換期

永杉 本日はお忙しい中、お時間を頂戴しましてありがとうございます。
 ミャンマーでJICA の名前はよく耳にするのですが、実際にはどのような活動をされているのでしょうか。また今、事業で一番支援に力を入れている分野は何でしょうか。

田中 当機構の海外事務所は現在100程度ありますが、ミャンマー事務所は世界で最も忙しい事務所と言われています。日本外務省の下、ODA(技術協力や有償資金協力<円借款>、無償資金協力)を通じてミャンマー政府に協力し、ミャンマーの社会や経済の発展を支援しています。
 明治維新の頃に政府に招聘された外国人技術者がいました。彼らは、様々な法律や制度を作成し、土木や建設技術を教えるなど、日本の国づくりをサポートしました。私どもは今、ミャンマーへ日本人技術者や資金などを提供し、同国の国づくりを助ける仕事をしております。 事業は大きく3つの柱があります。1つ目は道路、電力、水などの経済発展に欠かせない基礎インフラの整備支援です。当機構の専門家が、ミャンマー政府内に入って技術指導をしているほか、有償・無償資金協力を通じた支援をしています。
 2つ目は人材育成や、国の骨格となるような制度作りです。例えば、法支援では日本の弁護士や検事をミャンマー法務長官府に派遣し、法律の起草過程をサポートする。また、中央銀行の決済システムのIT 化支援、教育分野ではヤンゴンとマンダレーの工科大学へ日本の先生を派遣して大学の教育や研究のレベルを一段階上げる試み、ビジネス人材の育成など、さまざまな人づくりに取り組んでいます。
 3つ目はミャンマー国民生活の向上です。保健分野では、保健省職員の能力向上支援や感染症対策のプロジェクト、農業開発では農業の生産性向上のための各種プロジェクトを進めています。

ミャンマーに寄り添い援助からの卒業を目指す

永杉 初歩的な話になりますが、そもそもJICA の数多くのプロジェクトの仕組みを教えてください。また近年、事業が急激に拡大したことで、問題点や悩みはありませんか。

田中 当機構は、すべてのプロジェクトを"G to G(政府と政府)" で行います。技術協力では、ミャンマーの省庁に専門家を派遣して人づくり・組織づくりを支援します。有償・無償資金協力では、ミャンマー政府を通して国際入札等を行いますが、日本企業の積極的な参加が期待されています。
 問題点を挙げるとすれば、ミャンマー側の受け入れ能力の弱さです。日本政府から資金や専門家が来て教えても、スタッフの経験不足等により、どんどん遅れていく。ミャンマー政府は「急いで変化をしたい、日本の反応は遅い」と言いますが、本当はどうでしょうか。これが大きな悩みですね。
 解決策は、一緒に活動して教えることだと考えます。今まで多くの途上国支援を行ってきた中で、成功か失敗かの境目は、その国の政府や国民がどれだけ自分たちの問題として、自分たちで取り組み、消化していくか。援助はいつか終わりが来ます。
 アジアの前例を挙げれば、韓国もかつて受けた援助を卒業(=自立)し、タイやマレーシアも同じ道をたどっています。ミャンマーも今後15年~20年で、最低でもタイの国レベルに追いつき、いずれ日本の援助から卒業を迎える日が来るでしょう。

2011年テイン・セイン政権前までは、年間30億~40億円で推移してきたが、昨年から有償資金協力が再開したことで1,000億円を超え、数十倍の支援規模に。

 

 

ミャンマーの自立を目標に国づくりのサポートに尽力――

長い目で共に育むため日系企業の進出に期待

永杉 私の好きな映画に"Back to theFuture" があります。未来を見てきた人には、次はこうすれば良い、と事前予測ができます。語弊はありますが「未来の」日本から来た我々は、同じ過ちを繰り返さず、かつ進化するためのノウハウを持っている。ぜひ日本企業には積極的に進出してもらい、ミャンマーとともに成長する気概を持って頂きたい。
 田中所長は数多くの事業をバックアップされる中で、日本企業の進出に対してはいかにお考えでしょうか。

田中 日本企業の人が視察に来られて、よく言われるのは「人材不足」「インフラの欠如」「各種法的な未整備」です。見方を変えれば、少し時間をかけることで人も電気も通信も水も、必ず良くなっていきます。まずは日本企業が来て、人材育成から一緒にやって頂きたい。タイやベトナムでも同様のアプローチを経て、現在の成長があります。
 軍事政権時代という鎖国状態が長く続いた影響から、ミャンマー人のリーダー層の不足が問題視されています。しかし同時に、一部でタイやシンガポールに出た優秀な若者が祖国に戻る" 帰国組" が増えました。彼らの活躍の場ができていけば、国自体の成長も早いとみています。現代の最新技術をすぐ導入でき、また近隣国の失敗事例に学べるからです。
 ミャンマーは日本に片思いをしていると思います。日本では偏った報道イメージが多く残念だと、現地に来てから痛感しています。ミャンマーの" 伸びしろ" を考え、先行投資のつもりで進出してほしいです。

潜在的なパワーのある国 ミャンマー貢献にやりがい

永杉 お話を伺って、行政サポートを軸にした、まさに手取り足取りの対ミャンマー支援の熱い想いを感じました。
 最後に、所感やミャンマーに向けたメッセージをお願いします。

田中 ミャンマー人の気質、潜在能力に可能性を感じています。一つは90%を超える高い識字率、基礎学力の高さはアジアでも類を見ません。あと一つはモラルの高さです。目上の方を尊敬し、時間を基本的には守って、ウソはつかない、悪いことをしない国民性。アフリカや中南米と比較しても、抜きん出て素晴らしいと思います。 この激的に変わるミャンマーの国や人づくりに関われるのは、本当に幸せなことです。ミャンマーの明治維新に立ち会える外国人は稀でしょう。ミャンマー人の国を変えたい情熱に感化され、JICA 関係者の多くが「少しでもお役に立ちたい」という気持ちでいっぱいです。

永杉 心理学の要素も含まれていますね。確かにビジネスにも通じる話で勉強になりました。
 5月の女子ワールドカップアジア最終予選に向けて、今後ますますお忙しくなると思いますが、ミャンマー女子フットボールの発展のため、ミャンマーのスポーツ界の活性化につながるさらなるご活躍を心から祈念しております。

≪ミャンマーJICA 豆知識≫

1.医療や建築、農業など多くの分野で、ミャンマー政府から、日本へ毎年400名近くの研修員を派遣。その後は学んだ技術を活かしながら、各省で活躍している。

2.ミャンマーの歴史で一度も撤退しなかった援助機関はJICA のみ。欧米諸国の機関は88年以降に一時撤退、世界銀行もアジア開発銀行も撤退した。これは極めて特異で、JICA へのミャンマーの閣僚による評価は高いという。

3.事務所は日本人16名、ミャンマー人スタッフは26名の体制。他にも関係省庁に入って活動する専門家、コンサルタントを含めると、関係者は総勢100名以上。

[2014年2月1日現在]

 

新ヤンゴン総合病院は、80年代半ばに日本のODA(無償資金協力)によって建設され、ミャンマー市民からは『JICA 病院』とも呼ばれる。

 

  

取り組みは多岐に渡る。対ミャンマーのODA は1950年代のミャンマー独立直後から開始され、ミャンマー初めてのバルーチャン水力発電所の開発からはじまり、現在は首都ネピドーの中央省庁や、ニャンウー地区を拠点とした農業支援、マンダレーの畜産支援など、ミャンマー各地に専門家を派遣。


MYANMAR JAPON CO., LTD. 代表
MYANMAR JAPON および英字情報誌MYANMAR JAPON+ plus 発行人。ミャンマービジネスジャーナリストとして、ビジネス・経済分野から文化、芸術まで政府閣僚や官公庁公表資料、独自取材による多彩な情報を多視点で俯瞰、マーケティング・リサーチやビジネスマッチング、ミャンマー法人設立など幅広くミャンマービジネスの進出支援、投資アドバイスを務める。ヤンゴン和僑会代表、一般社団法人日本ミャンマー友好協会副会長、公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会特別委員。

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